仙台市沿岸部で地域を活性 「川俣正/仙台インプログレス」報告展

2017年から渡船やベンチ、塔を設置

パネルや写真・映像で活動を紹介する「川俣正 仙台インプログレス」報告展=宮城県仙台市の「せんだいメディアテーク」7階

東日本大震災の津波によって空き地となり、ほとんど人が住んでいない地域でコミュニティーのつながりと活性化を促進するプロジェクト「川俣(かわまた)正(ただし)/仙台インプログレス」の報告展が宮城県仙台市の「せんだいメディアテーク」で5月30日まで開かれている。

2017年に始まった活動を年度ごとに、説明文と写真約70点、スケッチ図約10点、記録映像、制作した実物のベンチと模型を含めて紹介する。プログレスとは、前進・発展の意味。

フランスを拠点に国際的に活躍する川俣正は16年7月に仙台市を調査旅行し、宮城野区岡田新浜(しんはま)地区の住民から貞山(ていざん)運河にかかっていた橋が津波で流され向こう岸に渡れないと聞き、「すべての人の懸け橋」という思いからフランスの仲間や地元住民、ボランティアとプロジェクトをスタートさせた。

活動箇所は上述の岡田新浜、若林区荒浜、井戸の3エリアで、いずれも海岸線から200㍍ほど。海岸線には高さ7㍍の人工堤防が築かれており、住み続けている住民はまだ少数だ。

川俣の手法は、地域住民らの課題・要望を受け止めて、まず作品プランや模型を提示し、ワークショップや交流会を重ねる中で改善しつつ、自らを含めたスタッフやボランティアらと作品を制作し設置に至るケースが多い。

年度ごとにパネルや写真を見ていくと、17年は「みんなの橋」のプラン・模型の制作と進捗(しんちょく)報告会の開催、18年は小型の「みんなの船」を専門家のアドバイスを受けつつ完成させ、渡し船のイベントに合わせて貞山運河に浮かべた。地元の自然や話題を聞く意見交換会も行っている。

21年には、元住民が「町を訪れても座る場所や目印がない」との要望から木造ベンチと新浜タワーの制作・設置を行う。22年には「貞山運河小屋めぐり」に協力し、23年には井戸地区に「溜まり場」を作りプチマルシェ(小さな市場)を開き、テーブルとベンチを住宅の基礎跡などに設置した。

川俣は、既存の芸術の枠を超え、建築、都市計画、歴史、地域社会などと関わり長期的視野に立ったプロジェクトをダイナミックに展開し注目を浴びている。

神奈川県から母親と来た小学生はベンチの制作写真を見て「私も作ってみたい」と話していた。

(伊藤志郎、写真も)

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