全国の自治体庁舎内で日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」がパワハラによって購読勧誘されている実態が次々と明らかになっているが、栃木県の県庁所在地である宇都宮市議会で「庁舎内勧誘行為の実態調査を求める陳情」がこのほど、採択された。他の自治体と異なるのは、共産党市議が反対討論の中で特定の団体名を挙げたことに対して「陳情と無関係」として懲罰動議が出され、懲罰特別委員会が新たに立ち上がったこと。6月の定例会までに同議員への処分が決まる見通し。(「しんぶん赤旗」問題取材班)
宇都宮市議会本会議は22日、令和6年度一般会計当初予算などを可決するとともに、「政党機関紙の庁舎内勧誘行為の実態調査を求める陳情」を圧倒的多数で採択した。この日に閉会予定だったが、共産党の福田久美子市議の行った陳情への反対討論を巡って議会が深夜まで紛糾。自民、公明、市民連合、維新の4会派が福田市議への懲罰動議を提出したため、異例の会期延長となった。
また、福田市議は「政党機関紙の勧誘・配達・集金の中でのパワハラの実態は、一切確認されていない」と述べているが、今回採択された陳情は職員の実態調査を求めたもので、6月の定例会開始前までに調査結果がまとまり公表される見通しだ。陳情提出者の「政党機関紙の庁舎内勧誘行為の自粛を求める栃木県民の会」の兼子孫芳代表は、「パワハラ勧誘があるのかないのかはっきりさせてほしい。あると認められた時には適切に対応してもらいたい」と語っている。
4会派が問題にしたのは、同市議が陳情の添付資料の引用元と決め付けた新聞社や宗教団体、政治団体などの名前を挙げて「反社会的な団体の思惑に加担」しかねないと語った点。「特定の団体名を挙げ、陳情趣旨とは無関係の発言をした」との理由で26日、12人で構成される懲罰特別委員会が設置され、閉会中に審議して処罰内容(戒告、陳謝、一定期間の出席停止、除名)を検討することになった。同委の設置は3年半ぶり。地元紙「下野新聞」によると、委員長に就任した小林紀夫市議(自民)は「市民の信頼回復のため、しっかり議論する」と話している。