埼玉県川口市西部でトルコ系クルド人による暴動や迷惑行為が頻発し、地域社会が混乱している。警察による摘発が難しい迷惑行為が多発している。日本には5000人程度のクルド人が居住していると推定されており、不法滞在者がかなり多いとみられる。強制送還を厳格にできるようになる改正出入国管理法が今年6月に施行されるが、その効果には疑問符が付く。(豊田 剛)
2023年7月、川口市の救急病院に約100人のクルド人が集まって乱闘騒ぎを起こしたことがきっかけとなり、地域住民とのあつれきがクローズアップされた。その6日前には川口市議会が、国や埼玉県に「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」を可決したばかりだった。
住民による行政などへの苦情申し立ては、自転車盗難、信号無視や暴走、トラックの過積載、改造車乗り回しなどの交通ルール無視、深夜に集まり大声で会話、ルールを守らないごみ捨て、公共の場における放尿・脱糞(だっぷん)、産業廃棄物の不法投棄、脱税。さらに、日本人女性に対するナンパ行為、未就学児童の増加と一部の不良化――など枚挙にいとまがない。そして批判は、同市に集住するトルコ国籍のクルド人に対するものが目立つ。
東京に隣接する川口市は交通の便が良く、中国人、韓国人、ベトナム人などが暮らすようになった。中でもここ数年、トルコ国籍のクルド人が急増している。彼らの多くは解体業で働いている。
いち早くクルド人問題を調査しているジャーナリストの石井孝明氏によると、同市が「外国人共生のまちづくり」を掲げ、外国人が住みやすい街を目指した結果、問題のある人々も呼び寄せてしまった。
最優先すべきは地域住民 大手メディアは沈黙 クルド人不法移民問題 ジャーナリスト 石井孝明氏に聞く
同市の昨年の犯罪認知件数は前年同期比で16・2%増の4091件に増えている。増加率はコロナウイルス騒動での減少から一転して増加傾向にある全国・埼玉県平均と比べて高い伸びを示す。市長が共産党の蕨市でも問題が悪化している。
「そもそも政府の不作為によって、外国人・クルド人による問題が起きている」と石井氏は話す。トルコ人は審査なしで90日間、査証(ビザ)なしで日本に入国ができる。その中で、トルコ国籍のクルド人は、「難民」とうそをついた上で、何度も難民申請をして住み着き、課税逃れのために意図的に住民登録していないという。
石井氏は「政府はこれまで、不法行為を働く外国人に法適用をすると言ってもやらなかった。その隙を突いてトルコ国籍のクルド人が急増してしまった」と話す。行政が暴動を警戒し、人権配慮を行った結果、問題をむしろ悪化させたと強調。入管庁は、在留資格がなく送還対象であるにもかかわらず、難民申請を繰り返しながら日本に留(とど)まり続ける外国人を、強制送還などの対応で、積極的に数を減らさなかった。
入管法の改正で難民申請は2回までに限定されるが、初回の判定が出るまでの間、月7~8万円の難民手当が支給され、住民登録をすれば自治体から補助金を受け取れる、異様な高待遇だ。
石井氏によると、トルコ大使館は良好な日本との関係をこじらせかねないとしてこれまで意図的に放置していたが、昨年あたりからメディアに懸念を語り始めた。在日トルコ人はクルド人の蛮行に怒っている。そして、日本クルド人文化協会には過激派武装組織「クルディスタン労働者党」(PKK)の影があるという。それでも日本のメディアは同協会に親和的な報道をしている。
クルド人はトルコを中心に3000万人いるとされ、国を持たない最大の民族。「母国で迫害されている」と訴え、一部の人々が日本に難民申請している。ただ、トルコでは今、クルド人は市民権を得ており、迫害されているとは言い切れない環境にある。
外務省の高橋美佐子参事官は12日、参院総務委員会で、クルド人は「トルコ国内では国政政党、閣僚、国会議員、判事など要職に就いている」と述べた。
一方で、岸田文雄政権は、外国人労働者を受け入れる政策を、国民に問わないまま進めている。
「学校・教育、社会保障、犯罪者をどうするか、移民問題を扱うに当たり必要なことが準備されていない。適切に法適用すべきだ。(地域住民が)外国人に萎縮して生活を強いられるのはおかしい」。石井氏はこう述べて、あらゆる外国人について受け入れる前に環境を整備する必要があると訴えている。