3人の発信者 写真や映像、文書で紹介

東日本大震災から13年目を迎え、宮城県仙台市の「せんだいメディアテーク」では震災にまつわる記録を写真や映像、文書で紹介する企画展が4月21日まで開かれている。
「星空と路(みち)―3がつ11にちをわすれないために―」と題して毎年3月に開催されるこのイベントは、市民や一般参加者による震災の記録を紹介。10日にはギャラリートークが行われ、3人の発信者がそれぞれの取り組みを語った。
自閉症の子を持つ橋本武美さんは、震災時に障害児を抱え大変な思いをしたことから、同じような境遇の家族の声を聞きたいと思うようになり、レコーダーを持って記録を始めた。「そのまま残しておくことが大事だと思った。自分も当事者であるし、他の地域の人や、これから生まれてくる人たちに繋(つな)いでいきたいとの思いがあった」と音声記録を始めたいきさつを説明。「話すことで忘れていたことを思い出したり、本人の癒やしの体験にもなる」と話すことの大切さを語った。
埼玉県の自由の森学園高校に通っていた佐野友紀さんは、高校の授業で被災地の石巻市を訪れたことをきっかけに復興とは何かを考えるようになり、「東北と復興」をテーマに独自の取り組みを始めた。「1年間で終わる選択授業だったが、もっと知りたくて2年目も受講した」と明かし、授業の中で学び考えたことをまとめて展示した。「現地を訪れ、そこで暮らしていたさまざまな人に復興とは何かを聞いた。即答できる人もいれば、答えられないという人もいた。建物や道路は新しくなっても人それぞれの復興の形があると思う」と話し、今後も一個人としてテーマに向き合っていきたいと語った。
市内在住のアマチュア写真家髙橋親夫さんは、震災前の2011年2月にたまたま撮影していた宮城県沿岸部の写真と日記を展示。震災後に風景が一変したことで各方面から震災前の写真を使わせてほしいとの問い合わせを受けた。
今回の会場となった「せんだいメディアテーク」では文化事業の一環として震災の記録を残すアーカイブ事業を行っており、今後も被災者の声や写真、映像を集めて公開していくという。
(長野康彦、写真も)