Home国内生存した時代を詳細に再現 リニューアルした福井県立恐竜博物館

生存した時代を詳細に再現 リニューアルした福井県立恐竜博物館

新種6種と動植物化石出迎え

北陸新幹線の延伸で話題を集める

恐竜の全身骨格の間を縫うように見学できるのも魅力だ

3月16日、北陸新幹線が延伸され、金沢・敦賀間が開業する。福井県を訪れる観光客が増えそうだが、その目玉となる一つが、福井県勝山市にある日本最大の恐竜を展示する福井県立恐竜博物館だ。昨年リニューアルされたばかりで、新たな関心を集めている。

恐竜の骨格展示だけでなく、彼らの生きた地球環境を詳細に調査し、それらを一般の見学者にも分かりやすく紹介している。

県立恐竜博物館は福井市内から車で約50分、北陸自動車道・福井北インターから35分ほどの距離にあり、白山山麓に広がる勝山市の北部「かつやま恐竜の森」に建っている。

リニューアルされた常設展は、まず巨大肉食恐竜「ティラノサウルス」が出迎える。10㍍を超える巨体が上下左右に大きく動き、口や首、目を動かして獲物を狙う。細かいしぐさもなめらかで、とてもロボットとは思えない迫力。豪快に吠えて来館者を威嚇(いかく)する。

この博物館は地上3階・地下1階建てで、大きく分けて低層部と巨大な丸屋根の展示ホールの二つで構成されている。低層部には事務室や研究棟が入り、ドーム型ホールには恐竜標本が陳列されている。福井県の発掘調査で発見された新種の恐竜6種と他の動植物化石を展示し、さらに福井県以外のわが国で発見された恐竜化石や中国とタイで見つかった恐竜化石なども紹介している。

来館者にとって、地上1階から入っているように感じるエントランスが、実は建物としては3階に当たり、そこからドームの中を一直線に貫くエスカレーターで地下1階まで一気に下る。頂点の天窓から光が差し込む姿は幻想的で、恐竜たちが生きた太古の時代へとまるでタイムスリップするような気持ちにさせられる。

暗い通路を抜けた先の「柱が一本もないドーム」は、高さ37・5㍍、直径84㍍の圧巻のサイズで、広々とした4500平方㍍の広大な展示室には恐竜標本が50体ある。それらを見上げながら順に観察できるよう、動線も細かく配慮されている。1階から2階に上がるスロープもドームの内径に沿って設置され、スロープを歩きながら、さまざまな角度から恐竜の骨格を観察できるのも、この博物館の醍醐味(だいごみ)だ。

さらに今回の新たな演出で、人気のティラノサウルスロボットの周囲の壁を撤去して観覧空間を広げた。その空間には、ティラノサウルスロボットの左右に竜盤類(りゅうばんるい)の代表としてタルボサウルス、鳥盤類の代表としてサウロロフスの全身骨格を配置している。そのため、彼らが生息した当時の姿が、来館者には身近な風景として広がっている。

ドラえもんのアニメにも登場するタルボサウルスの全身骨格は躍動感ある姿勢に変更され、恐竜の全身骨格の総数を50体に増設。

さらに、海外の博物館からブラキロフォサウルスのミイラ化石を長期借用し展示した。皮膚の痕や筋肉などの軟組織の状態が保存された世界的にも貴重な実物化石で、保存の良さからギネスブックにも登録されている。

「展示内容も学術的に裏付けされたものばかりで、専門家や研究者も満足できる」(担当者)という。

(日下一彦、写真も)

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