トップ国内南西諸島防衛の重要性議論 那覇で安全保障シンポ

南西諸島防衛の重要性議論 那覇で安全保障シンポ

覇権拡大続ける中国

シンポジウムには関係者ら100人以上が参加した=3月2日、那覇市のノボテル沖縄那覇

日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、沖縄を中心とした南西諸島を守るため日本が取るべき国家安全保障戦略について考えるシンポジウム「厳しさを増す国際情勢と日本の安全保障~南西諸島の防衛~」(笹川平和財団、平和・安全保障研究所共催)が2日、那覇市内のホテルで開かれた。出席者らは中国の今後の台湾政策や、南西諸島防衛の重要性などについて議論した。(沖縄支局・川瀬裕也、写真も)

頼氏就任前に大規模演習か 土屋氏

南西諸島が日米同盟の焦点 宮岡氏

平和統一にも武力行使含む 尾形氏

「歴史的権利」で領土を主張 村井氏

シンポジウムではまず、京都先端科学大学の土屋貴裕准教授が「中国・習近平政権3期目の外交・軍事の展開」と題し講演した。土屋氏は、中国は「統一戦線工作」によって西側諸国に対して領土や資源などの「核心的利益」を常に強調し、香港や台湾に加え、ウイグルやチベットなどの少数民族問題についても内政問題であるとして「『外国から干渉されている』とするナラティブ(物語)を形成している」と指摘。

習氏が昨年4月に南シナ海を担当する南部戦区の海軍を、7月に台湾・東シナ海を担当する東部戦区の施設を立て続けに視察したことに触れ、習氏は3期目において「東シナ海と南シナ海への闘争を強めていくことが窺(うかが)える」とし、次期台湾総統・頼清徳氏の就任前に「大規模な軍事演習を行うのではないか」と分析した。

シンポジウムで発言する(上から順に)土屋貴裕氏、宮岡勲氏、尾形誠氏、村井友秀氏=3月2日、那覇市のノボテル沖縄那覇

次に登壇した慶応義塾大学の宮岡勲教授は、覇権拡大を続ける中国を念頭に、日本政府が南西諸島における自衛隊の抑止力強化「南西シフト」を進めてきた経緯を振り返った上で、「島嶼(とうしょ)での機動展開や奪回作戦(が機能するの)は日米における『海上・航空優勢』が確保された上での話だ」とし、それらの確保が困難になった場合でも敵の上陸を接近阻止するための「スタンド・オフ防衛能力」が重要だと強調した。

昨年、日米共同訓練や演習が南西諸島地域で行われ、地対艦攻撃や領域横断作戦の連携などが進んでいることや、日米安全保障協議委員会(2プラス2)による合意で、在沖米第12海兵連隊が第12海兵沿岸連隊に改編されたことなどを踏まえ、「南西諸島が今後の日米同盟の焦点となる」と語った。

元日本台湾交流協会台北事務所主任で元空将補の尾形誠氏は、中国の台湾政策において、「統一のための武力行使」と「武力統一」とでは段階が違うと持論を展開。2022年の中国共産党大会で示された「台湾の平和統一・一国二制度は堅持する」との中国の姿勢について、「われわれ(日本人)の概念には、『平和統一』の中に『武力』は入っていないが、中国にとって『武力行使』は、台湾を『平和統一』につなぎ留めるためのヘッジ(リスク回避)だ」と指摘し、「平和統一のシナリオの中にも限定的な武力行使は含まれる」と警鐘を鳴らした。

その上で尾形氏は、中国はミサイル打撃能力や制空・海権獲得能力、着上陸侵攻能力だけでなく、情報・サイバー・認知戦を用いた「ハイブリッド戦」を準備しているため、もし台湾武力統一に踏み切った場合、「(ロシア・)ウクライナ戦争のような単純な話ではなく、戦域は南シナ海・東シナ海・西太平洋にまで及び、参戦国も日韓米フィリピン、ヨーロッパなどにも拡大するかもしれない」と推測した。

東京国際大学の村井友秀特命教授は、中国共産党はこれまで国の発展を掲げ国民から支持を集めてきたが、経済が停滞し始めたことにより、「別の柱として用いたのが愛国心・ナショナリズムだ」と主張。中国が南シナ海や、石垣市の尖閣諸島などで領有権を主張し続けていることなどについては、1970年代に中国の高校の歴史教科書で使用されていた地図「帝国主義割取中国領土図」を例に挙げて、中国が領土とは別に、国外を一周囲んだ線の内側は「勢力圏との認識をしている」として、その中に沖縄は「琉球群島」と明記されていると強調した。

過去に中国が国際司法裁判所が下した判決を「紙切れ同然」だとして無視したことに触れ、「中国は(歴史上)一度でも中国の領土になった場所は永遠に中国の領土でなくてはならないという『歴史的権利』を主張している」と危機感を募らせた。

シンポには100人以上の関係者らが参加し、全パネリストの共通認識として日米による南西防衛の重要性が改めて示された。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »