ウクライナ侵攻2年 ニーズに変化 日本財団会見 滞在避難民に帰国支援追加

長期希望は言葉の壁 就職難も

右 か ら 笹 川 順 平 日 本 財 団 常 務 理 事 、 避 難 民 の ボ ヤ ル チ ュ ッ ク ・ ジ ュ リ ア さ ん 、 ホ デ ン コ ・ オ レ ク サ ン ド ラ さ ん = 21 日 午 後 、 東 京 都 港 区 の 日 本 財 団 ビ ル ( 辻 本 奈 緒 子 撮 影 )

ロシアによるウクライナ侵攻から2年を前に、日本財団は21日、東京都内の同財団ビルで説明会を開き、日本に滞在するウクライナ避難民の最新の状況と新しい支援策を発表した。

笹川順平常務理事は避難民に対する最新のアンケート結果から、回答者の7割以上が日本での長期滞在を希望していると紹介。一方で8割以上がウクライナに家族を残してきており、帰国を検討している避難民も一定数いることから、帰国支援を追加で実施すると説明した。

支援策には、帰国のための航空券手配と1人につき一律30万円の一時金支給が含まれる。一時金の使途は問わないが、日本での自宅の退去費用やウクライナへ帰国後の準備金などを想定しているという。すでに複数の申し込みがあり、笹川氏は「希望者は50人程度いるのではないか」としている。早ければ、4月にも帰国支援が始まる。

また給付金や生活物資以外に避難民が求めている支援として、侵攻から1年程度たった時には「遊び、観光」が最多だったのに対し、今回は「仕事の紹介、職業訓練」が上回った。回答者のうち働いている人と働いていない人はほぼ5割ずつだが、働いていない人のうち半数以上が就職を望んでいながらかなっていない状況だ。この割合は下がってはいるものの、原因として笹川氏は、言語の問題が大きいと分析。「日本語学校とNPOを通して、日本語教育の支援を続けていきたい」と強調した。

避難民を代表して登壇したホデンコ・オレクサンドラさん(22)は母親が病気のため帰国を検討しているといい、日本の支援に謝意を述べた上で「帰国したら日本と関係のある仕事をしたい」と語った。ボヤルチュック・ジュリアさん(30)は、「ずっと日本に行きたいと思っていたが、今自分は幸せになっていいのかという気持ちになる」と明かした。

日本財団のアンケートは去年11月から年末にかけて5回目が実施され、支援対象の避難民約2000人のうち1022人が回答。支援の予算規模は87・8億円を見込んでいる。

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