水彩画家・春日部たすくとの交流描く 「会津人士交流録」展 斎藤清美術館

情感の春日部たすく 理知的な斎藤清

福島県会津出身の世界的木版画家・斎藤清と、会津出身の画家との交流に焦点を当てた企画展が斎藤清美術館(福島県河沼郡柳津町)で開かれている。

学芸員の伊藤たまき氏は「斎藤清というと、会津の風景を描いた画家のイメージが強いが、会津の人との関わりについては意外に触れられていない」とし、展示第一期にあたる今回は会津出身の水彩画家・春日部たすくとの交流をモチーフに両者の作品を展示している。

同氏は「春日部は情感あふれるものを水彩画で追求した人。かたや斎藤は情というよりも理知的な絵画構成が特徴。画風のまったく違う2人が会津というキーワードで交流した」と両者のつながりを説明。「水彩画家の春日部は猫の絵が有名。自分の感情を表現することを重視した画家で、猫を描いても人間臭く表情が豊か」と、春日部の画風の特徴を解説した。

一方の斎藤もたくさん猫を描いたが、同氏は「斎藤は本人曰く猫があまり好きではなかった」とし、「春日部の、猫に自分の感情を表すような表現に対し、斎藤はあくまでも猫を客観的に見て、猫の形、フォルムが面白くて猫を描いた」と、両者の猫の絵に対するアプローチの違いを語った。

斎藤がよく描くテーマとして会津の雪景色がある。同氏は「斎藤が会津の冬を描く理由は郷愁ではなく構図」とし、「冬は余分なものを雪が隠してくれる。雪が積もることで細かいところは全部雪に隠れて外形だけが残る。それがまさに斎藤が追い求めるシンプルさであり究極の形」と、斎藤が会津の雪景色を描く理由を説明した。

斎藤は1960年代、一時期スランプに陥り、版画が作れなくなった時期がある。その時、木版画から離れ、春日部の影響で墨画に活路を見いだした。

同氏は「斎藤は墨画があったから自分は救われたみたいなことも言っている。斎藤は墨画で得た表現を版画で再現した。斎藤にとって墨画と版画は相互関係を持ちながら展開していった。そのきっかけを作ってくれたのが春日部だった」と芸術家2人の知られざるストーリーも紹介した。

(長野康彦、写真も)

spot_img