長さ2㌔瓦ぶき塀は荘厳
秋田市立秋田城跡歴史資料館で企画展「築地塀(ついじべい)を追いかける-秋田城をめぐる2・2㎞の塀-」が開かれている。
秋田城は、奈良時代中ごろから平安時代にかけての約200年間、最北の地に置かれた古代城柵で、大規模な地方官庁だった。古代の築地塀の跡が発見された珍しい遺跡として注目される。企画展では塀の発掘や築造の仕方、出土した瓦と復元の様子などに焦点を当てる。
同館によると、東日本の古代城柵は、当時の律令国家が各地に暮らしていた蝦夷(えみし)の支配を目的として越後、出羽(でわ)、陸奥国(むつこく)に設置した軍事・行政機関で、秋田城は最北に位置。天平(てんぴょう)5(733)年、「秋田出羽柵」として秋田市の高清水に築かれた。
秋田城の全容は常設展示に詳しいが、企画展では中心施設である政庁と、城の周囲を巡る二重の塀を詳しく説明。外郭(がいかく)は東西・南北とも約550㍍で総延長は約2・2㌔にも及び、土をつき固めた高さ約4・5㍍の瓦ぶき屋根の塀が延々と続く様子は、律令国家の威厳を示す荘厳な光景だった。
発掘で見つかった粘土の採掘跡と漆紙(うるしがみ)文書、土師器(はじき)などから年代を特定。現代のショベルに似た道具やつき固める木の実物も展示する。二重の塀の一部は創建当時の工法と材料で同館から徒歩5分の史跡公園内に復元しており、自由に見学できる。同展は28日まで。
(伊藤志郎、写真も)