奇怪な仮面で家々を巡る
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石川県能登半島の先端、輪島市では小正月になると奇怪な仮面を着けて家々を巡り、厄を祓(はら)う素朴な神事が受け継がれている。
輪島市輪島崎町に伝わる面様年頭(めんさまねんとう)(国重要無形民俗文化財)だ。地元の小学生が夫婦神に扮(ふん)して、1月14日(おいで面様)と20日(お帰り面様)に漁師町を巡る。コースは14日が山側から、20日は反対に海側から各戸(約200戸)を回る。
面様は家の前に立つと、手に持ったサカキの枝で玄関戸を激しくたたいて厄払いし、無言のままズカズカと座敷に上がり、神棚に拝礼。
その後上座に座り、当主から「面様、おめでとうございます」とあいさつを受け(写真)、初穂を受け取る。夫婦神は終始無言で、言葉を掛けないのがしきたりとされている。2神が路地を歩く姿は、初見者には“異様”に映る。
輪島では小正月に夫婦の神様が天から降りて来るとの言い伝えや、海の彼方の常世(とこよ)の国から神様がやってくるという来訪神信仰も伝わるが、面様の由来は定かではない。
神社に伝わる最古の仮面には、1541(天文10)年の銘があり、室町時代から続いているとも指摘されている。
(日下一彦、写真も)