庁舎内における政党機関紙の購読勧誘強要に関するハラスメントが、全国の地方議会で問題視されている。こうした中、千葉県長生村議会は今年6~7月に職員と議員を対象にハラスメントに関する調査を実施。村議からハラスメントを受けたことがある職員は4人に1人おり、議員から機関紙購読を強要された人が一定数いたことが明らかになった。(赤旗問題取材班)
調査は、東間永次・長生村議会議長(当時)が今年4月、20代の女性職員に暴行を加えけがを負わせたことを受け、共産党の関克也・議会改革特別委員長が調査を主導した。
職員141人のうち103人が回答。「議員ハラスメントを受けたことがある」は26人、「議員ハラスメントを受けたのを見たことがある」は19人いた。具体的なハラスメント行為としては、「威圧的・高圧的な発言」(28人)、「理不尽な要求」(20人)、「大声での叱責、意に沿わない対応に恫喝」(18人)。続いて、「機関誌の勧誘、購読の強要」によるハラスメントを訴えた人が9人と4番目に多かった。
ハラスメントを受けた際は、誰にも相談できず、何もしなかった人が最も多かった。「何もしなかった」理由としては、「相談しても解決しない」「仕返しされると思った」「職場での立場が悪くなりそうだから」が上位を占めた。
調査結果を受け、11月16日に開かれた同村議会では、議会事務局にハラスメントの相談を受ける窓口を設けることなどを盛り込んだ「長生村議会ハラスメント防止条例」が可決、成立した。
これに先立ち、同県柏市議会は今年4月17~21日にかけて全職員に「市議会議員からハラスメントを受けたことがあるか」を調査。回答した1827人のうち、157人がハラスメントを受けたことが分かった。その中には、「機関誌の勧誘・購読の強要」が複数含まれていた。ハラスメントを「見たことがある」は316人に上った。
これ以外にも、全国的に複数の自治体で、議員による職員への機関紙勧誘に伴うハラスメントがあったかどうかの実態調査が進められている。「機関紙勧誘で心理的圧力を感じた」とする割合は、石川県金沢市で8割(2019年2月)、千葉市で7割(20年10月)、北海道千歳市で7割(23年3月)と、突出して多かった。多くの自治体で、機関紙勧誘を受けた職員の「2人に1人以上」がハラスメントを感じている実情があり、職場の環境改善が求められている。