世界平和統一家庭連合(家庭連合)の2世信者が立ち上げた「信者の人権を守る二世の会」は3日、シンポジウム「現代の日本社会において宗教は必要か」を都内で開き、ジャーナリストの佐々木俊尚氏と2世信者たちによるパネルディスカッションを行った。シンポジウムを開くのは5回目。
佐々木氏は、日本社会において家庭連合が批判的に捉えられやすい理由を「教義や実践に拒否感がある訳ではなく、共同体のありようではないか。宗教にとって共同体の存在はとても重要だが、外から見れば違うものに見えるというギャップがある」と指摘。その上で「多様性をどこまで認めるのかという不信感もあるだろう。宗教団体は一様な価値観を押し付けるイメージが強い。その宗教とは違う価値観も受け入れるというアピールをした方が、社会から受け入れられやすいかもしれない」と提言した。
一方で、宗教の必要性については「AIが進化し、誰かの画像やデータを取り込むことで、過去に死んだ人でも生きているかのような動画が作られるようになった。もし今後、映像で生身の人間を再現し、会話もできるようになると、永遠に他者は死なない時代になる。死生観が大きく変われば、テクノロジーの時代にも宗教的なニーズが出てくる可能性がある」と分析した。
同会代表の小嶌希晶さんは「社会の理念と私たちの宗教とのバランスの取り方に悩んでいた。伝統を貫く大切さ、そして社会から求められる共同体の提供という役割もこれから研究していきたい」と話した。