【危険水域に入った岸田政権 支持率最低更新の背景】(中)内閣改造と減税策の誤算

衆院予算委員会の冒頭、自民党5派閥の政治 資金パーティー収入の過少記載問題について 発言する岸田文雄首相(左手前)=22日午前、 国会内

「内閣を改造し、減税を打ち出して、支持率が下がる政権は経験したことがない」。複数の政治評論家は、何をしても支持率が上がらない岸田政権に呆(あき)れる。

【危険水域に入った岸田政権 支持率最低更新の背景】(上)支持率 退陣水準迫る

子育てや防衛費の増額にかかる国民の負担感から岸田氏は「増税メガネ」と揶揄(やゆ)された。10月20日に召集された臨時国会では、17兆円規模の経済対策を打ち出した。その目玉政策として住民税非課税世帯に7万円給付金を計上。来年6月からは、所得税と住民税の4万円減税が実施される。ところが、ほとんどの国民に恩恵が届くのは物価高騰がひと段落すると思われる来年後半以降。国民から総スカンを食らう形になった。

9月に発足した第2次改造内閣も評判が芳しくない。閣僚に5人の女性を起用し、女性重視をアピールしたかに見えたが、その後発表された副大臣と政務官には女性が1人もおらず、逆に厳しい批判を浴びた。その上、政務三役の不祥事も相次いでいる。

山田太郎文科政務官は不倫関係が週刊誌に報じられ辞任。柿沢未途法務副大臣は4月の江東区長選で違法な有料ネット広告を勧めたほか、選挙前に複数の区議に現金を配っていたことも発覚。そして今月13日には、自身が代表取締役を務める会社で固定資産税の滞納を繰り返すなどしていた問題で神田憲次財務副大臣が辞任した。3週連続の不祥事による辞任だ。

こうした状況で、岸田人事の「不適材不適所」ぶりが露(あら)わになっていると言える。

その1年前にも同様の辞任劇があった。山際大志郎経済再生担当相、葉梨康弘法相、寺田稔総務相と、わずか1カ月の間に3人の閣僚が辞任。その1カ月後に秋葉賢也復興相が更迭された。

こうした中、自民党内では「ポスト岸田」に向けた動きが始まっている。

15日には経済安全保障担当相の高市早苗衆院議員が、国力増強をテーマにした勉強会「『日本のチカラ』研究会」を発足させ、初会合を開いた。現職の閣僚が自身主宰の勉強会を立ち上げるのは異例だ。この初会合に集まった国会議員は13人と少ないが、岸田派を除く各派閥から集まっており、その影響力は無視できない。

一方、21年の総裁選で高市氏の推薦人に名を連ねた青山繁晴参院議員は、11月10日にネット番組で、次期総裁選に「出馬する」と明言。青山氏は93人が参加する自民党の保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」の代表を務める。

次期首相候補で常に上位につける元環境相の小泉進次郎衆院議員は22日、ライドシェア導入を目指す超党派の勉強会を立ち上げた。菅義偉前首相の支援を受ける。

動向が注目されるのが党内最大派閥で99人を擁する安倍派の動きだ。安倍氏亡き後は集団指導体制を取るなど、リーダーシップ不在を露呈したままだ。安倍派の混迷がポスト岸田の議論にブレーキをかけていたと言える。

宏池会の要職を務めた経験がある政治評論家の田村重信氏は「安倍派が強いリーダーシップを発揮せずして、強い自民党を取り戻すことができない」と話す。

自民を巡っては目下、5派閥に政治資金規正法違反の疑惑がくすぶるなど、不安材料はまだある。政務三役にもスキャンダル含みの議員が他にもいるとされる。先週、岸田氏はアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席し、習近平中国国家主席やバイデン米大統領と個別の首脳会談を実現させた。こうした外交成果は、身内の疑惑で帳消しになった感が否定できない。(政権検証取材班)

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