信者への差別「信仰難しくなる」

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長は7日、記者会見の中で安倍晋三元首相の銃撃事件後、1年間の教団内での取り組みについて説明を行った。
昨年7月から今年10月まで、教団側に寄せられた返金要請に対して返金対応を行った件数は664件、金額は44億円だった。664件の報告書全てに目を通したという田中会長は、「われわれの不足さゆえに心を痛める方がいたことを、詳細に具体的に知った。いつかおわびをする機会を持たなければいけないと思っていた」と話した。
一方で、実際の被害者数や被害金額はまだ確定していないとして、「謝罪という言葉は被害者が特定されて使われる言葉。裁判が始まり、(教団の)犯罪性も含めて法廷で議論されるので、『謝罪』という言葉に距離を置かなければならない」とし、裁判との関連で「謝罪」の表現に一線を画す姿勢を示すとともに「返金要請される方も元信者。献金を捧げることは神聖な行為だ。信仰を失って返金を求めたら即被害かという結論は距離があり過ぎる」として、献金の返済請求すべてが被害とは言えないとの考えを示した。
宗教2世問題については「2世本人の主体性と自主性を重んじるべき」と強調した上で、これまで2世信者の悩みを受け止めるための取り組みとして相談員制度や奨学金制度を拡充してきたとし、「信仰ゆえに家族が困窮したり、親子間相互の関係にひびが入らないよう心がけていく」と語った。
また、このタイミングで記者会見を開いた理由について田中会長は「解散命令請求が出た直後に記者会見する気だったが、文部科学省の発表と見解があまりにも受け入れ難かった。先に弁護士から法的な姿勢を発表した上で、私から総合的な記者会見を開いた」と答えた。
このほか現役信者が受けている差別の状況について問われると、「批判報道の中で会社を辞めさせられたり、自殺未遂、自殺もあった。これまで2万件以上の嫌がらせ電話が全国の教会であり、家庭連合職員の保険証を見て病院から受診を断られたケースもある」と述べた。その上で「解散請求を受けても税の優遇がなくなるだけと言われるが、今でもこの状況だ。解散請求が出されれば、信仰そのものが難しくなる」と訴えた。