北朝鮮に拉致された可能性を排除できない「特定失踪者」の早期帰国を訴える集会が21日、東京都内で開かれた。拉致問題の膠着(こうちゃく)状態が続く中、13年ぶりに開催され、特定失踪者家族らは「何とか突破口を」と一日も早い解決を求めた。集会は支援団体「特定失踪者問題調査会」が主催。各地から家族ら約50人が参加した。
青森県で1969年に消息を絶った今井裕さん=失踪当時(18)=の兄で、特定失踪者家族会の今井英輝会長は「拉致問題には命の期限がある。北朝鮮で迎えを待つ人、日本で家族を待つ人、これ以上長くいけば共倒れになる。国民の力で何とか突破口を開いてほしい」と訴えた。
1967年に漁へ出たまま、3人の息子と共に行方が分からなくなった北海道雄武町の紙谷慶五郎さん=失踪当時(55)=の娘北越優子さんは、「半世紀以上経(た)ち、さまざまな報道があった。でも、私は今でも4人は一緒にいると信じ、これからも最後まで頑張っていく」と決意を吐露した。
集会には拉致被害者の家族も参加した。46年前に拉致された松本京子さん=拉致当時(29)=の兄孟さんは「諦めてはいけない。必ず道は開ける」と力を込めた。
特定失踪者問題調査会は2010年、「最初で最後」として同様の集会を開いた。しかし、拉致問題が進展せず、家族の高齢化が進む中、「何とかしなければ」と二度目の開催を決めたという。
同会の荒木和博代表は「二度とこの集会はできない。家族の話を一人でも多くの人に伝えてほしい」と語った。