【連載】衆参補選現場を行く(上)参院徳島・高知選挙区 自公の一致強調も苦戦

演説に耳を傾ける有権者ら=14日午後、高知県高知市(豊田剛撮影)

内閣改造後、初めての国政選挙となる参院徳島・高知選挙区と衆院長崎4区の補選が22日投開票される。岸田文雄首相が念頭に入れる衆院解散にも影響するとされる。現場を取材した。(衆参補選取材班)

「友党公明党が強力に応援してくれている。国政の選挙で公明党の山口代表と自民党の総裁が共に同じ舞台に上ってマイクを持つことは極めてまれなこと。自民党と公明党が力を合わせて変化を力に変え、明日は必ず今日より良くなると信じられる日本をつくっていきたい」

自民党新人で公明が推薦する元高知県議の西内健氏の応援で14日、高知市入りした岸田文雄首相はこう述べた。

現役の首相が高知入りするのは10年ぶりというが、安倍晋三首相(当時)が演説した当時と比べると「盛り上がりに欠ける」(西内陣営)。麻生太郎副総裁が公明党は「がん」と発言したことで、修復しかけた関係に再び亀裂が入ったことも少なからず影響しており、「頼みの創価学会の動きは弱い」(同陣営)。

首相が候補者応援に入るのは、接戦の場合がほとんどであり、劣勢が伝えられている中の応援演説は異例とも言える。徳島・高知合区になって3度の選挙は、いずれも自民党公認候補が当選するなど、保守地盤だ。自民は背水の陣で臨む。

この補選は、自民党の参院議員だった高野光二郎氏が自身の秘書に暴力を振るって辞職したことに伴って行われる。「マイナスからのスタート。厳しい選挙戦です」。自民党高知県連は、有権者の反応の悪さを痛感している。知名度が低い分、自公セットで「政治の安定、政治の継続」(西内氏)を訴えるしかないという。

 告示日の5日、自民党本部からは茂木敏充幹事長が高知県で第一声を上げ、徳島県には小渕優子選対委員長が入った。特に、西内氏の地元ではない徳島の群衆はまばらだった。西内氏は演説で、「人々の生活を守るために地方の声を届けなければならない。徳島でも仕事をさせてください」と訴えた。

「自主的に」演説を聞きに来たという地元市議は、「選挙応援の依頼は受けていない。これまでなかったことだ」と苦言を呈した上で、「反応がまるっきり悪い」と頭を抱える。同氏はこうも話す。「高野氏は高知市議から参院議員になり、合区になった際には徳島側の候補を下げさせて出馬した。暴力沙汰で参院議員を辞めたが、徳島も代表する議員であるだけに、いい気持ちはしない」

徳島と高知は過去3回の参院選で投票率最下位を分け合っている。今回は、補選ということもあり、投票率のワースト記録の更新は避けられない情勢。両陣営とも、出身地ではない徳島を重点的に回っている。

「無所属でどこからも推薦を受けない」。無党派をアピールする無所属元職の広田一氏は知名度で先行する。立憲民主党に所属し、衆院高知2区で1度、参院高知選挙区で2度当選した実績がある。

告示以来、野田佳彦元首相や枝野幸男前代表、蓮舫元代表代行ら知名度の高い幹部クラスを投入している一方で、元立民議員であることは表に出さない戦略を展開している。

広田氏は13日、徳島市で行われた超党派の集会で、「保守から革新リベラルまで党派を超えて政治の信頼をいかに取り戻すかの戦い」と述べた。国政レベルでは立民および共産党と距離を置いている国民民主党は県連レベルで自主的に応援、非自民勢力が幅広く結集している。

同日、同集会に駆け付けた共産党の小池晃書記局長は「今回は自民党に1回休んでもらうのが筋」と訴えた。広田氏は防衛費の増額や物価高に触れ、「国民・県民に寄り添った政治をしていない。驕(おご)りが過ぎる」と岸田政権を痛烈に批判した。

ただ、会場の半分程度しか人が集まらず、保守の牙城を切り崩すまでの手応えは感じていない。立民は、泉健太代表の下で臨んだ4月の衆参補選では4戦全敗だった。関係者は、岸田政権の「オウンゴールに助けられている部分はある」と話す。

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