カトリック系では世界最大の通信社の一つである「アジア・カトリック連合(UCA)ニュース」は6日、日本政府が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求を行う方針であることについて、「政治的な動機ではなく、公共の福祉と正義に対する偽りのない懸念が動機であることを確実にする必要がある」と主張する論評を掲載した。解散請求を巡る日本政府の公正性に疑念を呈する見方が、海外の宗教関係者の間で広がっていることを示すものだ。
論評を執筆したのは、イタリア人フリージャーナリストのクリスチャン・マルティーニ・グリマルディ氏。同氏はバチカン市国の日刊紙記者などを経て、現在は東京を拠点に活動している。
グリマルディ氏は、旧統一教会の活動はこれまで、「信教の自由」の範囲内と認識されていたにもかかわらず、安倍晋三元首相暗殺事件を機に突如調査が始まったことを踏まえ、「旧統一教会を解散させようとする政府の熱意は、潜在的な不正行為を正すために慎重に検討された決定を反映するものなのか、それとも責任を転嫁し、都合よくスケープゴートを特定するための政治的戦術にすぎないのか、われわれは自問せざるを得ない」と主張した。
また、「日本では数多くの小さな宗教団体が旧統一教会と同じような疑わしい宗教的実践を行っている」とし、「政府はこれらの類似した宗教団体の仕組みを理解するために徹底的な調査を行ったのか。これらの団体が信者から金銭を引き出すために強制的な戦術を用いていないか調査したことがあるのか」と疑問を呈した。
その上で、グリマルディ氏は「この問題における日本政府の役割は極めて重要だ」と断じ、「旧統一教会内の潜在的な不正行為に対処することと、正義と透明性の原則を守ることの間でバランスを取ることは、困難で多面的なこの状況を公正に解決するために不可欠だ」と訴えた。
解散請求に関し、イタリアの宗教社会学者でカトリック教徒のマッシモ・イントロヴィニエ氏も、本紙のインタビューで「犯罪を起こしていない宗教団体を清算できるのは中国とロシアだけだ。(刑事事件で有罪判決を受けていない旧統一教会を解散させれば)日本はこれを行う最初の民主主義国となる」と指摘し、不公正な手続きで旧統一教会を解散させようとしている日本政府を厳しく非難した。