文人の歌碑や句碑がずらり 五頭温泉郷やまびこ通り/新潟県

新潟県阿賀野市にある五頭山(ごずさん)(912㍍)は、大同4(809)年、弘法大師によって開山されたと伝えられる。西側から頂上に至るルートに五つの峰が連続し、それぞれの峰に観世音菩薩など石仏が祀(まつ)られている。地元の人たちが登山を楽しんでいる山だ。

麓には国道290号にそって五頭温泉郷があり、南から村杉温泉、今板温泉、出湯温泉と並んでいる。近くにはラムサール条約の登録湿地である瓢湖(ひょうこ)もあり、冬になると白鳥が飛来して大勢の人が見物にやってくる。

ところで出湯温泉と村杉温泉を山中でつないでいるのが、「やまびこ通り」(写真)という5㌔の道路だ。この林道には、文人の相馬御風や書家の横山蒼風の作品はじめ、歌碑や句碑がずっと並んでいて、名所の一つになっている。

松尾芭蕉の「奥の細道」をヒントに造られたそうだが、それも阿賀野市が佐藤念腹や石塚友二といった俳人はじめ多くの文人を輩出したからだった。

佐藤念腹(1898~1979年)は阿賀野市の出身で、「ホトトギス」の同人。27年ブラジルに渡り、「ブラジル時報」や「バリソスタ新聞」の俳壇選者を務め、俳誌「木陰」を創刊。日系人に俳句を広めて「ブラジルの虚子」と言われたそうだ。「ブラジルは世界の田舎むかご飯」の句がある。

石塚友二(1906~86年)も阿賀野市の出身の小説家で俳人。石田波郷に師事して俳誌「鶴」の2代目の主宰を務めた。

見晴らしのいいところで車を止め、歌碑を読んでみた。「たたなはる五頭の連峰仰ぎつつわが少年の夏は育ちき」(正也)。麓には石材店があり、碑(いしぶみ)は今も造られ、増え続けている。

(増子耕一、写真も)

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