少子化対策と憲法改正を急げ 【連載】第2次岸田再改造内閣の課題(2)

「新しい憲法を制定する推進大会」でビデオメッセージを寄せた岸田文雄首相 =23日午後、東京千代田区

<前回>(1)「再選」より課題解決が重要だ

「2030年までが少子化トレンドを反転させるラストチャンスであり、まずは、先般閣議決定したこども未来戦略方針に基づき、次元の異なる少子化対策を早期に実施すべく、必要な制度改革の法案を次期通常国会に提出する」

岸田文雄首相は13日の記者会見で、三つの「政策の柱」のうち、第2の柱である「社会」についてこう述べた。少子化対策は喫緊の社会問題だ。国造りに必要な若い人材の減少に歯止めがかからない。

2月末に厚生労働省が公表した「人口動態統計(速報)」によると、2022年に国内で生まれた子供の数(出生数)が初めて80万人を割った。国立社会保障・人口問題研究所の22年10月時点での推計では、総人口は1億2494万7000人だが、30年には1億1662万人、60年には8674万人にまで減少する。

「こども未来戦略方針」は、児童手当の所得制限撤廃や支給期間延長、男性の育児休業の取得促進が軸になる。これについて、朝日新聞の世論調査では73%が「期待できない」、共同通信でも「期待しない」「あまり期待しない」が66%に達し、専門家からも多くの批判が出た。予算による小手先の子育て支援だけでは、人口減少に歯止めがかからないことを誰もが痛感しているからだ。

少子化は1990年代初めから課題として登場し、これまでさまざまな対策が取られたが十分な効果を挙げられなかった。首相自ら「ラストチャンス」という国家的な課題である以上、失敗は許されない。財源をどう確保するかも定まっていない状況で、既定のスケジュールをなぞるだけでいいのか。結婚や家庭の価値までさかのぼって、政府の総力を挙げて取り組む熱意が必要だ。

人材不足の課題は安全保障の分野でも重くのしかかる。

首相は「防衛力の抜本的強化」に向けて昨年、安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3文書を閣議決定した。これに定められた人的基盤の強化のため、防衛省は大臣の諮問機関として「防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会」を設け、今年2月から検討を進め、7月に報告書をまとめた。ここで今後検討すべき人材確保策として、待遇改善、勤務環境の向上、採用方法の見直し、民間からの高度人材の登用――などが挙がったが、これも速やかに実行すべきだ。

また、先の安全保障関連3文書についても、政治評論家の田村重信氏は、「日本周辺の安全保障環境を考えると不十分で、これまでの安全保障の基本と変わらない」と述べ、憲法9条改正まで踏み込むべきだと主張する。反撃能力を加味しても「必要最小限度の自衛の措置」という制限が付く限り、国家防衛には限界があるためだ。

首相は、今秋に予定される臨時国会で憲法改正原案をまとめ、来年の通常国会で国会発議を目指す決意を示す必要があるだろう。

中でも、「戦力の不保持」を定めた第9条2項を削除し、自衛隊を軍隊に位置付ける自民党憲法改正草案の原点に返ることが求められる。改憲に前向きな維新、国民両党の協力を得ながら、憲法改正に消極的な公明を説得するという難題が待ち受けている。(豊田 剛)

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