行政の長として決断迫られる
工事の設計変更承認「検討」も

米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡る訴訟で4日、最高裁で県の敗訴が確定した。これにより、辺野古移設反対を貫いてきた玉城デニー知事は工事を阻止する策を事実上失った。判決を下に国は辺野古沿岸部の軟弱地盤の埋め立て工事に本格的に着手する見通しで、辺野古移設阻止を公約に掲げて再選した玉城氏は窮地に立たされた。(沖縄支局・川瀬裕也,写真も)
松川・宜野湾市長 「判決、尊重すべきだ」
この裁判は、辺野古移設工事に伴い、防衛省が申請した設計変更申請を県が不承認とした処分を巡り、国が是正指示を出したことが違法かどうかを争うもの。最高裁判所は4日、「(国の)是正指示は適法とした原審(福岡高裁那覇支部)の判断は是認できる」として、県の上告を退ける判決を言い渡し、県の敗訴が確定した。
判決を受け、同日夕方、県庁で会見を開いた玉城氏は、判決に対し「地方自治の本旨を踏まえた公平・中立な判決を最後まで期待していただけに、極めて残念」と険しい表情で語った。今後については、「判決内容を踏まえ、今後の対応について検討していく」と述べるにとどめた。

今回の判決は、玉城氏が移設阻止を貫くための策が事実上尽きたことを意味する。行政の長として判決を受け入れるか、政治家として反対を貫くか、苦渋の選択を迫られることとなり、窮地に立たされた。会見では何度も今後の対応と玉城氏の見解を尋ねる質問が繰り返されたが、玉城氏は終始険しい表情で「検討する」と力なく答えるのみだった。
玉城氏を支持するオール沖縄陣営の支持者らは8月28日、県庁前で集会を開き、最高裁判決で敗訴が確実となっていたことから「判決は不当!」「知事の不承認を支持する!」などと声を上げた。9月5日にも同様の趣旨で集会を開くなど反発を強めている。
辺野古移設阻止を公約に掲げ、オール沖縄の支援者らの支持を得て再選した玉城氏は、会見で「辺野古新基地移設阻止を求める県民の意思は変わらない」と述べ、自らの政治姿勢の一貫性を訴えたが、法的根拠を示されたことで、知事としての立場上、「一般論としては(設計変更申請承認を)検討せざるをえない」とも語っている。
玉城氏の2期目の知事選の公約の一丁目一番地は、「辺野古に新基地を造らせない」ことだ。もし玉城氏が行政の長として判決に従い、工事の設計変更を承認した場合、公約違反に当たり、オール沖縄系の支持者からの批判は免れない。自民など保守系野党の追及にも耐えられなくなり、窮地に追い込まれることは間違いない。
普天間飛行場がある宜野湾市の松川正則市長は、判決後、報道陣に対し「非常に重い判決で、行政として尊重すべきだ」と語り玉城氏を牽制(けんせい)。国と争い続ける県の姿勢について「我慢の限界だ。県が法廷闘争を続ける間も、市民の心は1日も休まらない。(移設計画が)大きく動くと期待している」と強い口調で批判した。
辺野古移設を巡り、日米両政府は1996年4月、県内移設を条件に普天間飛行場を返還することで合意しているが、2009年9月に発足した民主党の鳩山由紀夫政権が「最低でも県外移設」を掲げて撤回に追い込まれるなど、迷走を繰り返してきた。さらに移設予定地の辺野古沿岸で確認された軟弱地盤の存在で、総工費が膨張するなど、合意から27年経(た)った現在も移設作業は難航を極めている。
政府は、日米同盟の抑止力維持と普天間飛行場の危険性除去には、「辺野古移設が唯一の解決策」との姿勢を維持しており、当事者である宜野湾と名護の両市長は同意している。一方で、玉城氏は移設阻止を堅持してきた。
この間、辺野古移設について県と国が争った裁判は13件に上る。その中で、今回の判決を含め7件において県の敗訴が確定した。残る4件も和解などで終結している。残る2件の訴訟についても県が勝訴する見込みは低い。
仮に玉城氏が不承認の姿勢を維持したとしても、国が県に代わり代執行を行う手続きができるため、工事再開は時間の問題となった。移設問題は新たな局面を迎えそうだ。






