鳥海山麓で獅子舞や番楽 第50回「鳥海獅子まつり」

若返りの猿倉講中に光明/秋田県由利本荘市

猿倉講中による「三番叟」。笛を女の子、鉦を2人の男の子が務めた

雄大で美しい姿を見せる霊峰鳥海山の麓に、「本海(ほんかい)獅子舞番楽(ばんがく)」が400年ほど前から伝承されている。

8月16日、秋田県由利本荘市の鳥海健康広場特設ステージで獅子舞や神楽、鳥舞(とりまい)などを披露する第50回「鳥海獅子まつり」が行われた。地元からは七つの伝承団体が参加したが、中でも猿倉講中(さるくらこうちゅう)は子供がお囃子(はやし)に参加し、後継者不足の状況に光明が見える。

同まつりは地域活性化の一助として毎年行われ、今年はキッチンカーも出た。地域住民やお盆の帰省客、芸能愛好者はステージ前の広場で臨時の長椅子に座って鑑賞。曇り空だったが、篝火(かがりび)がたかれ野趣あふれる催しとなった。

「本海獅子舞番楽」は平成23年に国の重要無形民俗文化財の指定を受けた。登録は13団体だが、今回の出演は7団体。

その中で三番叟(さんばそう)を演じた猿倉講中の囃子方に複数の子供が参加し注目を浴びた。笛に女の子が1人、鉦(かね)は男の子2人が大人に混じって演奏した。この演目は翁舞(おきなまい)とセットで、切りあごの黒式尉面(じょうめん)と烏帽子(えぼし)の三番叟が扇と錫杖(しゃくじょう)を持ち延命息災、安穏を祈念する。

猿倉講中の関係者によると、講中に入るのは成人してからで現在15人ほどだが、70歳以上は3人と少ない。20歳未満は7人いて、小学生の中には去年7月の虫追い行事から、同市の「民俗芸能伝承館まいーれ」での公演、今年の正月行事および虫追い行事を経験してきた子もいる。

少子化は全国的な傾向だが、各講中も例外ではない。猿倉の伝承者の“若さ”は貴重な存在だ。集落は70戸弱だが、10の演目を伝承している。

獅子舞と番楽は獅子頭を使うか使わないかで分類されるが、太鼓や笛、鉦の囃子方と歌い手(太鼓を兼ねる例が多い)、舞い手がいなければ成り立たない。笛の吹き手がいなくなればその演目は消滅し、伝統芸能は衰退していく。

鳥海の地に暮らす人々にとって獅子舞や番楽は生活に欠かせない存在だ。正月の幕開きから始まり、田植えの慰労や豊作祈願を込めての「さなぶり」、お盆には集落内の各戸で獅子振り、秋祭り、師走の幕納めを迎える。

同まつりには、ほかに市指定無形民俗文化財の貝沢(かいさわ)神楽獅子と、招待団体として中国南方獅子舞(神奈川県横浜市)と白銀四頭(しろがねしとう)権現神楽獅子(青森県八戸市)が出演した。

(伊藤志郎)

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