核兵器保有論 関門となる米国と9条改憲【連載】核恫喝時代―日本の選択(12)

7月27日、平壌で行われた軍事パレードに登場した新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」(朝鮮通信・時事)

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」

この憲法9条の下でわが国は日米安保条約を結び、自衛隊を組織した。あくまで自衛隊は軍ではなく、安全保障政策の基本指針となる防衛計画の大綱で「専守防衛」と「他国に脅威を与える軍事大国にならない」ことを基本方針としており、安全保障の基軸は「日米安全保障体制」だ。

日米同盟の「中核」は米国の抑止力で日本を守る「拡大抑止」とする体制であり、米国があって成り立つものだ。その「核の傘」を借りて、非核三原則を政策とし核拡散防止条約(NPT)を墨守する。このようなパクス・アメリカーナ(米国による平和)の戦後モデルがいつまで通用するのか――。

ロシアの核恫喝(どうかつ)に加え、今後10年、20年で中国の核戦力がさらに増強される上、北朝鮮の核弾頭搭載弾道ミサイルが完成し配備される可能性は高い。むしろ乱世を予感してか、「東アジアの安保環境は厳しさを増している」と、90・5%が5月の外務省の国内世論調査で回答している。

しかも、「核兵器は通常兵器のような軍事力の均衡を必要としない兵器であり、1発を保有するだけで相当の抑止力になり得る」(元自衛隊幹部)ものだ。韓国では最近の複数の世論調査で、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速する中、60~70%の国民が核保有を支持する結果が出ている。

また、「核兵器を持ってる国と持ってない国では、国際政治における発言力が違う。外交上、強い立場を維持できる」(同)といい、中国や北朝鮮が国際政治で立場を強める一方、アジア太平洋地域で日本の影響力は、米国の抑止力とともに低下しかねない。

ならば「米国は日本を同盟国として信頼し、日本独自の核抑止力を認め、日本が中朝の核恫喝に屈しない態勢を取らせた方が、米国の国益にも適(かな)うことになるだろう」と、元陸将補で日本安全保障フォーラム会長の矢野義昭氏は日本の核兵器保有の意義を語った。

ただし、政府の憲法9条解釈で違憲とならない核兵器は「専守防衛」の範囲だ。2006年に北朝鮮が地下核実験を行い、「核武装論」が物議を醸した当時の政府答弁書でも、「純法理的な問題として」「自衛のための必要最小限度の実力」にとどまるものであれば核兵器であっても「保有することは必ずしも憲法の禁止するところではないと従来から解してきている」(同年11月14日)との見解を示している。

このような「必要最小限度」の兵器に制約された核兵器の製造について、「とても相手国に対して戦争を抑止するような核兵器にはならない」と、元自民党政務調査会調査役で日本国際問題研究所客員研究員の田村重信氏は効果を疑問視する。「まず憲法9条を改正して自衛隊を軍にし、防衛力に『必要最小限』という枠を取り払うことが先決だ」と強調した。

独立国には主権、国民、領土を守る軍があって然(しか)るべきだ。憲法9条の改正が望ましい。それまでは高まる核脅威に対し、可能な限りの解釈で独自の核政策を模索する必要があろう。(窪田伸雄)

(終わり)

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