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国立新美術館「光 テート美術館展」

聖なるものから表現手段へ

展示されたジョン・マーティン『ポンペイとヘルクラネウムの崩壊』
展示されたジョン・マーティン『ポンペイとヘルクラネウムの崩壊』

ロマン主義からインスタレーションまで120点

東京・六本木の国立新美術館で、「テート美術館展 光 ―ターナー、印象派から現代へ」が開かれている(10月2日まで)。ロンドンのテート美術館といえば、ロマン主義の画家ウィリアム・ターナーのコレクションで有名だ。テムズ川北岸の英国美術を中心に展示するテート・ブリテンと、テムズの南サウスバンクの工場の建物を改造し2000年に開館した現代美術を集めたテート・モダンが中心となっており、今展では、「光」をテーマに18世紀から現代まで絵画、彫刻、写真、インスタレーション約120点を展示する。

ターナーは、大気や水蒸気、そして光など気象現象に目を向けた画家として知られるが、「陽光の中に立つ天使」など、その晩年に追求し表現した光には、物理的な光というより聖なる光であるものが多い。

同じくロマン主義のコーナーで展示されたジョン・マーティンの「ポンペイとヘルクラネウムの崩壊」は、古代ローマのベスヴィオ火山の爆発で溶岩にのみ込まれるポンペイの様子を劇的に描いたものだ。火山から上がる火柱、空を覆う煙や雲、海岸を襲う津波など、その恐ろしさがスペクタクルに描かれている。しかし、圧倒的な赤の色調で表現されたその光は、物理的な光である以上に神の審判の光に見えてくる。

ロマン派の伝統を受け継いだジョン・コンスタブルの「ハムステッド・ヒースのブランチ・ヒル・ポンド、土手に腰かける少年」は、英国的な田園風景を描いたもの。ここでも少年が眺める空の雲の間から差し込む光は、地上に降り注がれる神の恩寵(おんちょう)を象徴しているように見える。

19世紀末に活躍したデンマークの画家、ヴィルヘルム・スマホイの「室内、床に映る陽光」は、今展で出会った忘れ難い作品だ。がらんとした室内に窓から入った光が床を照らすさまを描いているだけに見える。しかしじっと眺めていると、不思議と詩的で神秘的な雰囲気が伝わってくる。

印象派以降の作品ではあまり引き付けられるものがなかったが、光を表現手段にしたモダンアートの最後の展示作、オラファー・エリアソンの「星くずの素粒子」(2014年)が面白かった。ディスコのミラーボールのようでもあるが、宇宙的な大きさが感じられた。

 (特別編集委員・藤橋 進)

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