環境保全 防災・治安の観点から
今年7年目、雑草刈り取り補植

東京都八王子市裏高尾町の小仏で、去る5月20日、高尾小仏育樹祭2023春が開かれた。これは2017年10月の植樹祭から始まったもので、毎年、植樹と育樹、草刈りが行われてきた。今年で7年目。場所は、高尾山の北西麓で、JR高尾駅から小仏行きのバスに乗り、終点で下車して、15分ばかり山道を登ったところ。
中央高速道路の小仏トンネルを工事した際に残土が生じ、これを盛り土にした。この場所を自然環境保全、防災と治安の観点から、自然の森に再生するプロジェクトが計画された。提唱者は横浜国立大学名誉教授の故・宮脇昭氏で、主催は植樹を推進するNPO法人国際ふるさとの森づくり協会。共催は盛土場を管理する中日本高速道路株式会社だ。
筆者もボランティアの1人として「地球の緑を守る会」(高津啓洋(こうづあきひろ)理事長)に加わって参加した。こうしたグループが幾つもここに結集して80余人が集まり、草刈りと補植に励んだ。
丘陵一帯は五つのエリアに区切られていて、この日の作業は2カ所。「きょうの作業はまず繁茂したイタドリを取ることです」と主催者からの指示があった。取り組んだのは2年前に植えたというエリアで、苗木はまだ小さくてイタドリのジャングルの下に埋もれている。
苗木はそのままに、イタドリを引っこ抜き、抜けないものは刈り取る作業だ。
そのエリアの作業が終わると、隣の場所に移り、用意された苗木200本を補植。ここに雑草はなく、先回植えたという苗木が育ち、保護のために土にかぶせた藁(わら)も残っていた。が、枯れたり、シカに食われたりした箇所があり、補植した。
初期に植えたエリアでは樹木がよく育ち、3~5㍍ほどの高さになっている。
道路には過去の植樹記録が表示されていて、例えば2020年9月27日には38種類、3868本を植樹。常緑樹、落葉樹、常緑低木、落葉低木、花木、と分類してアカガシ、イヌシデ、アオキ、ガマズミ、ウツギなど樹種をすべて挙げている。これまで植えた累計は1万9680本。
この体験を機会に、宮脇昭著『木を植えよ』(新潮社)を読ませていただいた。この本は、自然災害が頻発し、環境破壊が進む現代、地球に木を植えることの重要性を説いたもの。
理論的には、人間は生物圏全体の物質循環、いわゆる生態系の中で、消費者の立場で生かされているだけなのだと位置付け、植物こそが唯一の生産者と明らかにしている。そこで町にも学校にも自宅の庭にも森をつくることを推奨しているのだ。
宮脇氏が森づくりの研究で注目したのが鎮守の森。その土地と環境に適応した植物群落のことを「潜在自然植生」といい、その条件に合致した「本物の森」が鎮守の森だったという。
鎮守の森では高木、亜高木、低木、下草、そして土中の微生物まで含めて、限られた空間で競いつつ共生している。その多層群落こそ本来の自然の森の姿だったという。これを再現しようとするのが「ふるさとの木によるふるさとの森づくり」で、「混植・密植」が合言葉となった。これが宮脇方式なのだ。
(増子耕一、写真も)





