
安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件から1年となった8日、奈良市の現場や慰霊碑周辺には朝から花を手向ける人の姿が絶えず、長い行列ができた。東京都港区の増上寺では一周忌法要と一般献花が行われ、訪れた人たちは静かに手を合わせて冥福を祈った。
現場となった近鉄大和西大寺駅前には献花台が設けられ、安倍氏の遺影が置かれた。数珠を手に黒い服で訪れた大阪府枚方市の主婦佐野圭子さん(56)は「悔しい。まさかこんなことが起こるとは思わなかった。安倍さんがいなくなってしまって本当に悲しい」と涙を流した。奈良市の公務員内海紀彦さん(33)は「あっという間だった。寂しいという思いもあるが、まだ実感が湧かない」と話した。

奈良市内の霊園に設けられた慰霊碑にも安倍氏を悼む人たちが次々と訪れ、献花台に花を供えた。愛知県豊橋市から来た60代の看護師の女性は「とにかく悔しい。天国から見守ってほしい」と残念そうに語った。
増上寺での一般献花には開始前から多くの人が集まったため、約1時間前倒しで始まった。菊や百合、ひまわりなど、献花用の花を抱えた人々が周辺を通り、時折警備中の警官に増上寺までの道のりを聞く人もいた。当初は曇り空で天候が危ぶまれたが、やがて雲の切れ間から青空が見えるようになり、献花が始まってから2時間も過ぎると晴天となった。

厳戒態勢の中で行われた献花式は、手荷物検査も徹底。カバンの中に入れたポーチの中身も確認するほどで、金属探知機によるボディーチェックのそばには、警察犬も待機していた。
身体検査を抜けると、献花台のある大殿へと続く石畳の脇に、トランプ米大統領と会談する場面など、国政に取り組んだ安倍氏の日々を映した写真が展示。参列客は足を止めてスマートフォンで撮影しながら、在りし日の安倍氏の姿に思いをはせていた。
献花を終えた人の中には、目頭をハンカチで押さえて涙を拭う姿も。豊島区の主婦、菊池みさおさん(61)は「感謝の気持ちを伝えるために来た。亡くなってからの日本が心配だ」と懸念を口にした。7歳の娘を連れて喪服姿で訪れた品川区の40代主婦は「私たちの世代は総理大臣と言えば安倍さん。とにかく安らかにお眠りくださいと伝えました」と語った。
SNS上でも「安倍内閣総理大臣ありがとう」のハッシュタグがトレンド入り。このほか「去年は来れなかったので、一周忌は献花できてよかった」「もう1年経つとは悲しい」など、安倍氏を悼む投稿が相次いだ。





