Home国内【連載】安倍元首相暗殺から1年 闇の中の真相・テロ容認の危機(2)教団への恨みを反安倍へ

【連載】安倍元首相暗殺から1年 闇の中の真相・テロ容認の危機(2)教団への恨みを反安倍へ

鈴木エイト著『自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言』(小学館)

(1) 消えない単独犯への疑念

安倍晋三元首相を手製銃で襲撃し殺人などの罪で起訴された山上徹也被告(42)は、母親が入信する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する恨みから犯行に及んだと供述。マスコミ報道は旧統一教会批判一色となった。

その中でジャーナリストの鈴木エイト氏が、多数のメディアに登場するようになった。宗教・スピリチュアル団体などの情報を掲載するオンラインブログ「やや日刊カルト新聞」の主筆を務め、立憲民主党などの野党国対ヒアリングにも参加し、被害者救済新法成立や文科省による教団への質問権行使など一連の動きにも関わった。

鈴木氏は、5月に出版した『自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言』(小学館)で、事件発生の9日前に山上被告からSNSでダイレクトメッセージ(DM)を受け取った事実を明らかにしている。

山上被告はDMの冒頭で、「家族に信者がおり、統一教会をウォッチしている者です」と自己紹介。「やや日刊カルト新聞を始めエイト氏の日ごろの活動には頭が下がります」と鈴木氏のブログ読者として敬意を表した。その上で、7月10日に埼玉で行われる予定だった教団の集会について「参加者等ご存じのことはないでしょうか」と問うている。

埼玉の集会については、同被告は同様のメールを6月30日にも教団関係者に送っており、教団幹部襲撃を最後まで諦めていなかったことを改めて示している。

しかしそれ以上に注目すべきは、山上被告が「やや日刊カルト新聞」の愛読者だったことだ。同著書で鈴木氏は、山上被告とDMでやりとりしたことを「失念していた」としており、今年になって被告弁護人とやりとりする中で、再度知ることになったという。だが、弁護人によると、山上被告本人はDMの内容まで覚えているという。

いずれにしても、鈴木氏の「やや日刊カルト新聞」の情報は、「本来の敵ではない」と被告が語っていた安倍氏への襲撃に向かわせた一つの要因となった可能性が高い。

実際に鈴木氏本人も著書の中で「山上が安倍晋三という人物を『苦々しく』思っていた根拠、統一教会との関係性を確信した根拠は2021年9月のビデオメッセージに至るまでは、おそらくその殆ど全てが私の記事や発信だと思われる」と自慢げに述べている。

旧統一教会への恨みが、なぜ安倍氏殺害に飛躍したのかは事件解明の大きなポイントだ。逮捕後の供述では、安倍氏の祖父である岸信介元首相が旧統一教会を「日本に招き入れた」などの認識を持っていた。しかし教団の文献によれば1958年に日本に渡航した韓国人宣教師が布教し、日本の教団設立は59年10月2日となっており、岸氏は関係していない。

歴代最長政権を担い、世界的な評価の高い政治家である安倍氏が凶弾に倒れるという悲劇の発生に少なからぬ影響を与えたこと、被告が本来敵ではないとする一人の人間の命を奪ったことに対し、同著書を読む限り鈴木氏は全く自責の念を覚えていないようだ。それどころか、安倍氏への凶行を「(献金などの)被害拡大へ間接的に関わってきた責任を取らせることを意図していたのであれば、その方向性自体は間違っていない」などと、暗に肯定するような発言をしている。ただ絶句するしかない。(世界日報特別取材班)

(1) 消えない単独犯への疑念

(3)テロ容認風潮が生む模倣犯

(4)慰霊碑、市民の声反映されず

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