被害者の立場で罪を罰するため
Q 刑法改正で、「不同意性交等罪」という罪名ができたね。
A これまでは性暴力被害としての罪名は強制性交等罪と準強制性交等罪があったが、これらを統合し「不同意性交等罪」に改称した。強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪も統合し、「不同意わいせつ罪」に変わる。
Q なぜ改称したの。
A 性交は相手の同意がなければ犯罪になることを明確化したものだ。これまでだと、暴力や脅迫などの強制性が犯罪成立の要件となっていたが、これだと恐怖などで抵抗できない状況で受けた性被害は、被害者が訴えても「無罪」になるケースが少なくなく、被害者に厳しく加害者に甘いという批判があった。改称によって、被害者側に立ち、加害者に厳しくしたんだ。
Q 「同意」したかどうかの判断基準は難しいのでは。
A そうだね。だから、不同意性交等罪は要件として「暴行・脅迫」に加え、「アルコール・薬物の摂取」「恐怖・驚がく」「地位利用」など8項目が挙げられている。これらによって「同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うすること」を困難にさせたり、そうした状態に乗じたりして性交などを行った場合に成立することにした。
Q 子供を性被害から守るための改正も行われたね。
A 性的行為について自ら判断できる「性交同意年齢」は、現在の13歳から16歳に引き上げられた。また、16歳未満との性的行為は同意の有無にかかわらず違法となる。ただ、同世代間の行為は罪に問わないで、13~15歳の場合は5歳以上の年齢差のある相手が処罰対象となった。さらに、子供の性被害を防ぐため、わいせつ目的を隠してSNSなどで16歳未満を懐柔する「面会要求罪」(グルーミング罪)や、性的部位の盗撮や画像の提供を取り締まる「撮影罪」も新設した。ング罪)や、性的部位の盗撮や画像の提供を取り締まる「撮影罪」も新設した。