【特報】強制購読 92%が「赤旗」自治体庁舎内 政党機関紙勧誘の実態 本紙調査 64%「パワハラだと思う」 氷山の一角の可能性

地方自治体の政党機関紙購読勧誘問題で、議員による職員へのパワハラ勧誘の実態の一部が、このほど本紙の行った地方自治体に対するアンケート調査で明らかになった。「心理的圧力を感じながら政党機関紙を購読することがパワハラだと思う」が回答自治体の約64%を占め、「心理的圧力を感じながら購読した政党機関紙」の約92%が日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」だった。こうした「庁舎内での圧力」を「なくしたい」というのが数多くの自治体の声だったが、具体的な対処策を持っていないのが実情だった。(しんぶん赤旗問題取材班)

アンケートは5月下旬から6月上旬にかけ、主に2択か3択形式で11に及ぶ質問を郵送で全国の自治体に送付し、167自治体(21道県、146市町村)からファクスまたはメールで回答を得た。

質問1の「議員が庁の職員に購読を勧誘した事実を聞いたことがあるか」については、山口、大分、島根の各県や栃木、静岡、仙台の各市を含む52の県市町が「ある」とした。さらに青森、岩手、宮城、秋田、茨城、千葉、長野、滋賀、兵庫、佐賀の各県内の10市町が「圧力を受けて購読を勧誘」され、実際に購読に至った(質問2、3)。

質問4の「心理的圧力を感じながら購読した政党機関紙の名前」に関しては、回答した中の約92%が「しんぶん赤旗」だった。残りは「社会民主」で、「自由民主」と「公明新聞」はなかった。

「心理的圧力を感じながら政党機関紙を購読する状態がパワハラに該当するかどうか」(質問5)の認識については124自治体が回答。「パワハラだと思う」が約64%に上った。一方、「思わない」はわずか約5%。「その他」が約31%で、「状況によってはパワハラに該当する可能性がある」(茨城県の市)「事実関係が不明」(埼玉県の市)「心理的圧力を感じている職員がいるのであれば今後の対応を検討する必要がある」(栃木県の町)などのコメントが多く書き添えられていた。状況によりパワハラだと思うなどの「その他」の回答も含めれば、9割近い自治体がパワハラだと認識していることが分かる。

「パワハラによる購読勧誘を禁止したいが具体策を持っているか」の質問6、7については、ほとんどの自治体が「禁止したい」と回答する一方で、具体的な対策については「特に考えていない」「持っていない」を選択した。政党機関紙のパワハラ勧誘は、問題を認識しつつも、事実上、放置されているのが実態のようだ。

自由に意見などを記入する項目(質問11)には、「一定以上の圧力を感じ購入せざるを得なかった。実際に金銭を支払うことになり、特定政党への援助に当たるのではないかと思う部分もあり、職務への後ろめたさを感じてしまう」(秋田県A町)、「庁舎内での勧誘、配布及び集金は特定政党を支援する行為であり、認められるべきではない。職員の退庁後に庁舎内をウロウロして新聞を配ったり、執務時間中に集金して金員のやり取りをしていたり、かなり庁舎管理上問題があると思っている」(岩手県B市)といった公務員の苦悩の声が記され、問題を黙認している他市に関する情報提供もあった。

今回のアンケート調査に回答していない自治体も多く、結果は氷山の一角と見られる。「全国的に同じような事案が多くあるのであれば同じような思いを持つ方も多いと思うので、ぜひ問題提起をしてほしい」との声も寄せられた。公共施設である庁舎内において、議員による職員へのハラスメント行為を放置することは許されない。問題解決のために、さらに詳細な調査が必要となろう。

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