ユネスコの世界ジオパーク認定
国内10番目 前市長の思い継ぐ
今年5月、ユネスコの世界ジオパークに石川県白山市の全域が「白山手取川ジオパーク」として認定された。日本では、10番目の認定となった。
ジオパークについては、白山手取川ユネスコ世界ジオパーク推進協議会HPに次のように説明されている。
「大地の成り立ちを示す地質・地形など、地球の活動がよくわかる大地の遺産を主な見どころとする自然公園の一種です。見どころには、そのような大地の上に育まれた動植物などの自然や、考古学的・文化的な価値のある場所も含む」
この地域は霊峰白山とその山麓、流れ出る急流が織り成す渓谷、豊かな扇状地などの自然に恵まれ、手取川扇状地を一望できる獅子吼高原(ししくこうげん)、そして白山手取川ジオパークの「水の旅・石の旅」終着点であり出発地でもある日本海など見どころが多い。
それぞれの地域に大地の物語と自然、そして人々との関わりが体感できる。
地元では、2010年に推進協議会を設立して要望してきた。その先頭に立ってきたのが前市長の山田憲昭さんだった。
山田さんは「のりちゃん」の愛称で市民から親しまれていたが、認定を前に今年3月10日、突然、庁舎内で転倒し71歳で亡くなった。
胆管炎を患い、治療中で、「しっかり治療を受け、3期目に取り組んでいきたい」と意欲を燃やしていた矢先のことだった。
後任の選挙には、同市で長年、中学校の校長や教育長を務めた田村敏和氏(66)が選ばれ、「ジオパークは人だ、とよく言われていた前市長の思いを引継ぎたい」と決意を語っている。
「ジオパークの取り組みは、単に、地球科学的な遺産の保護・保全だけでなく、遺産を活用した教育活動の推進、地域経済等の発展までも考えていきたい」と、教育者の視点も加えて取り組んでいく旨を話している。
このエリアは「山と雪」「川と峡谷」「海と扇状地」の三つから構成されている。
ジオパークの認定は永続的なものではなく、4年毎に再認定審査を受けることになっている。
それに通過しなければ認定が取り消される決まりだ。その点では、同じユネスコのプログラムの「世界遺産」や「ユネスコエコパーク」と大きな違いがある。
推進協議会事務局では、「白山手取川ジオパークにとって今回の正式認定は第一歩となります。今後世界水準のブランド力を保持するためには、引き継ぎ、地域住民や団体、企業、教育機関等さまざまな組織、個人と連携し、保護保全、教育、観光など多面的な活動を続けていく必要があります」と喚起を促している。
(日下一彦、写真も)