有事の際、自衛隊と連携し国民保護

沖縄県周辺海域を管轄し、360を超える島々の沿岸警備や、中国や台湾との国境海域の監視などにあたる第11管区海上保安本部(那覇市)に4月1日付で島谷邦博本部長が着任した。中国海警局に所属する船舶による尖閣諸島(石垣市)周辺の領海・接続水域での航行の常態化や、宮古島沖での陸自ヘリ事故など、緊迫した状態が続く中で、11管区が果たしていく役割と決意を聞いた。(聞き手・川瀬裕也、写真も)
――11管区の本部長着任にあたり、抱負は。
沖縄ではマリンレジャーが非常に盛んだ。今後、観光客の一層の増加も予想されている。関係機関・団体と連携したパトロールや啓発活動を行いながら、海難事故防止に取り組んでいく。離島からの急患搬送なども大きな仕事だ。
また、緊迫が続く予断を許さない状況にある尖閣諸島周辺海域においても、引き続きわが国の領土領海を断固として守り抜くという方針のもと、関係機関と緊密に連携し、冷静かつ毅然(きぜん)と対応を続け、領海警備に万全を期していく。
――「予断を許さない」尖閣周辺の情勢が今後エスカレートする可能性もある。
政府が尖閣諸島を国有化した2012年、沖縄で巡視船に乗っていた。11年前の当時に比べ、中国海警局に所属する船舶の接続水域での滞在日数は格段に増えており、船もどんどん大型化している。尖閣周辺の領海に侵入し独自の主張をする同船舶の活動は国際法違反であり、領海侵入が相次ぐ現状は極めて深刻だ。
11管区は同船舶に対して、相手勢力を上回る巡視船で対応するなど万全の領海警備体制を確保している。その上で領海に侵入しないよう常に警告を与え、仮に領海に侵入する同船舶に対しては、領海からの退去要求・進路規制を繰り返し退去させる。また、領海内の日本船舶に接近しようとする場合には、日本船舶の周囲に巡視船を配備し安全の確保をしている。
――有事の際に防衛相が自衛隊法に基づき、海保を指揮下に置く「統制要領」が4月28日に発表された。
自衛隊の統制下に入った場合、海上保安庁法25条に基づき、非軍事的な性格を保ちつつ、自衛隊との適切な役割分担のもとに、国民保護措置や海上における人命保護等を実施していくことになる。11管区としても、「統制要領」で想定されている国民保護措置などについて適切に取り組んでいく。
――本部長着任直後に宮古島沖での陸自ヘリ事故に伴う一連の捜索活動があった。
まずは亡くなられた隊員やご家族に対してのお悔やみを申し上げる。11管区本部としては、4月6日午後5時ごろ、陸上自衛隊のヘリコプターのレーダー航跡が消失した旨の通報を受けて、直ちに潜水士を乗船させた船を現場に急行させ、行方不明者の捜索を実施するとともに、付近の航行船舶に対して情報提供を実施した。
6日から21日まで16日間専従捜索を行い、22日以降は、通常哨戒に合わせて捜索を続けており、引き続き捜索を実施していく。
人材育成で組織力向上図る
――11管区の課題や強化していきたい部分は。
マリンレジャーの安全確保と、離島からの急患搬送、そして尖閣領海警備が大きな三つの課題だ。これらに対して引き続き迅速かつ的確に対応できるように、人材育成などを通じて組織力を向上し、県民・国民の期待に応じていきたい。
――海上保安庁を目指す若者に一言。
海上保安庁には、巡視船や陸上での勤務、犯罪の取り締まりや救難、後方支援業務などさまざまな分野の仕事がある。現場の職員や先輩方が積み重ねてきた海上保安庁に対する信頼感や安心感があり、県民の方から「いつもありがとう」と言われるのは、とてもやりがいのある仕事だ。
=メモ=
第11管区 1972年の沖縄返還に伴い発足。沖縄県那覇市に本部を置き、沖縄県のすべての水域を担当する。那覇市および沖縄本島東部の中城、石垣島、宮古島に海上保安部がある。2016年には尖閣領海警備専従体制が整備された。







