地方自治体の政党機関紙公費購読 「赤旗」和歌山県は51部減 埼玉が最多の購読県に

政党機関紙部数を削減した和歌山県庁

全国の地方自治体による政党機関紙の公費購読に関し、日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」(「赤旗」)、公明党機関紙「公明新聞」、自民党機関紙「自由民主」、社民党機関紙「社会新報」の購読数がここ数年、全国で最も多かった和歌山県が、令和5(2023)年度には「赤旗」だけで年間200万円余り、73部から22部へと51部減少させるなどの予算削減を行ったことがこのほど分かった。また、千葉県でも「赤旗」を減紙したが、自民党所属の県議が「しんぶん赤旗について」と題し、購読部数問題を議会で追及したことが影響したものとみられる。(「しんぶん赤旗」問題取材班)

和歌山県の令和5年度における政党機関紙部数は、「赤旗」(日刊)22部、「公明新聞」22部、「自由民主」22部、社民党機関紙「社会新報」22部だった。昨年度はそれぞれ、73部、78部、84部、78部だった。4紙の購読費の合計金額は、昨年の約610万円から約177万円へと約433万円削減した。特に、「赤旗」だけで、約214万円カットした計算だ。1月の段階で和歌山県広報課は「政党機関紙の部数の見直し(削減)を行う予定である」と本紙に明らかにしていたが、今回の措置について、「県全体として情報収集に必要な購読部数について、再検討を行ったため」と指摘。削減しても部数が横並びの22部になっていることについては「各部主管課、各振興局、各種委員会・事務局ごとに、各紙とも1部必要となったため」と回答した。

平成30年度に「赤旗」120部を購読していた千葉県では、中村実県議(自民)が不偏不党の県庁が特定の政党の活動を公費で支援することは間違っているなどと追及。昨年度には日刊31部、日曜版13部の計44部にまで減少した。

同県議はさらに2月27日開催の予算委員会で、令和5年度の各部局、課の購読予定を議会事務局を通じて調査したところ38部だったことを問題視し、「およそ理解が得られない理由で購読を予定している課がある」として、総務部の資産経営課、総合企画部の空港地域共生課、交通計画課、健康福祉部の障害者福祉推進課、保険指導課、衛生指導課、商工労働部の産業振興課、農林水産部の団体指導課、畜産課、水産課、県土整備部の住宅課を列挙し、「最低限、この11課の購読は理解されない」などと追及。結果として、農林水産部だけで日刊4部、日曜版1部減らすなどし、今年度はそれぞれ25部、11部に減紙した。

また、本紙は、埼玉県総務部文書課が4月7日付で作成した「埼玉県本庁各課における政党機関紙購読部数一覧表」を入手。それによると、「赤旗」(日刊)は46部で昨年度と変化なく、「公明新聞」は50部で1部減った。ただ、創価学会機関紙「聖教新聞」が教育委員会総務課で新たに1部購読されることになった。

さらに、49部局のうち6部局を除くすべてで「赤旗」が購読され、総務部の職員健康支援課、税務課、福祉部の高齢者福祉課、農林部の畜産安全課の4課で同紙のみ購読されていることが明らかになった。また、和歌山県が大きく減紙したことで、埼玉県が全国最多の「赤旗」購読県となった。

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