
岸田内閣の支持率が上昇傾向にあり、岸田文雄首相が早期解散するのではという憶測が流れている。一部の調査では8カ月ぶりに50%の大台に乗った。先進7カ国首脳会議(G7サミット)の成功と4月のウクライナ電撃訪問、韓国とのシャトル外交の復活など、外交で得点を稼いでいる印象だ。一方、6月の「骨太の方針」に盛り込む異次元の少子化対策、防衛財源の確保など難しい課題が待ち受けているが、こうした課題が解散の大義名分になり得る。
首相は21日、広島市内で行ったG7サミット議長の総括記者会見で、早期の衆院解散・総選挙について「考えていない」と述べ、否定した。6月21日の通常国会会期末まで残り1カ月となるタイミングで、野党が内閣不信任決議案を提出した場合に衆院解散に踏み切るかどうか問われた。首相は、「重要な政策課題に結果を出すことに最優先で取り組んでいる。今は解散総選挙は考えていない」と語った。
統一地方選のうち、道府県議選で自民の獲得議席が51%とかろうじて過半数を占めた。同選挙後半戦と同時実施となった4月23日投開票の衆参5補選は、自民が4勝1敗で表向きは勝利したが、統一地方選全体を見れば勝ったのは日本維新の会で、自民は実質的には敗北に近い。
ただ、維新は総選挙を戦うだけの態勢は整っていない。その上、支持率で立憲民主を上回っている維新が、革新野党と足並みを合わせる状態にない。政府関係者は「サミットが支持率のピークで今後は下がる」と予想しているだけに、国会会期末までの解散総選挙には現実味を帯びる。
首相は22日の記者会見で「解散については考えていない」と改めて発言。松野博一官房長官は同日の記者会見で、「解散は首相の専権事項であり、コメントを控える」との見解を繰り返した。