「県民大会」参加は年々減少
辺野古反対署名 県内わずか2万7000筆

米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対や、自衛隊の防衛力強化反対などを訴える市民団体らが13、14の両日、「平和行進」と「県民大会」を開催した。コロナ禍以前と比べ参加者は大幅に減少。また9日には、辺野古移設反対の国会請願署名で集まった22万筆のうち県内はわずか2万7000筆だったことなども判明し、かつての「オール沖縄」勢力の衰退ぶりが顕著となっている。(沖縄支局・川瀬裕也,写真も)
玉城氏「独自外交」改めて強調
沖縄県の本土復帰から51年となる5月15日に合わせ、県内の革新系労組を束ねる沖縄平和運動センターなどは13日、「5・15平和行進」を実施。全国の自治労関係者なども来県し、本島中部と南部の2コースを歩き、「基地のない沖縄を実現しよう」「自衛隊の軍備増強反対」などと訴えた。主催者発表では約2000人が参加したという。
同行進は、コロナ禍により2020年と21年は中止、22年は人数制限が設けられた、今年は4年ぶりに制限を設けずに開催されたが、参加人数はかつての6000人(13年=主催者発表=)、4500人(16年=同=)の規模には届かず、年々減少傾向にある。
行進と同時開催の「日本を戦場にさせない平和とくらしを守る県民大会」も、参加人数の減少がうかがえる。
長年、平和行進の様子を見てきたという沖縄市の男性は「現実の安全保障環境から目をそらして、反対を言い続けているだけでは支持が減って当然だ」と切り捨てた。また宜野湾市の女性は「(普天間)基地の移設が遅れると、一番不利益を被るのは自分たちだ。いつまで(反対を)やっているのか」と怒りをにじませた。
これに先立つ9日には、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が、辺野古移設反対を訴える国会請願署名について、同日時点で22万3212筆を集めたと発表したが、そのうち県内は2万7319筆で、残りの19万5893筆は県外のものであったことが分かった。
同会議は19日に署名活動を締め切り、6月に国会へ提出する予定で、繁華街での街頭署名活動や、返信用封筒付の署名用紙を集合住宅のドアポストに入れて回るなど、支持拡大を図る。しかし146万人の人口を有する沖縄県民からわずか2万7000筆しか賛同を得られなかった事実は、基地反対を訴えてきた「オール沖縄」勢力の衰退ぶりを顕著に現していると言わざるを得ない。
7月に訪中を予定している玉城デニー知事は県民大会で、「先人たちが積み上げてきた平和への努力・成果を次の世代につなぐため『チムグクル』を世界に発信していこう」と呼び掛け、引き続き県が推し進める「独自外交」の重要性を強調した。
これまで玉城氏を支えてきた「オール沖縄」勢力の衰退が目立つ中、「独自外交」を半ば強引に推し進めようとする玉城氏の姿勢には危ういものを感じる。