トップ国内甲州古道の片隅にある道標 「上行講」碑/東京都八王子市

甲州古道の片隅にある道標 「上行講」碑/東京都八王子市

東京都八王子市にある高尾山の北側を甲州古道が通っている。JR高尾駅から小仏までこの道をバスが走っているが、蛇滝口(じゃたきぐち)のバス停近くで「上行講(じょうこう)」(写真)の石碑を見掛けた。道路の南側、小仏川よりだ。

「是より蛇滝まで八丁」と記してあって、高尾山中にある水行場「蛇滝」までの道のりを示した案内板である。

甲州古道が五街道の一つとして整備されたのは江戸幕府によるもの。戦国時代、小仏峠にあった小仏関所は麓の駒木野に移されて、道中奉行の支配下に置かれた。元和9(1623)年以降は4人の関所番が配置されたという。

江戸時代、高尾山に詣でる人々や、青龍権現を祀(まつ)った蛇滝で水行をする人々は、この古道を通って山に入って行った。

この道筋にはまた「ふじや新兵衛蛇滝旅籠」という建物がそのまま残っていて、これは講を組んでやってきた人々が宿泊した場所だった。平屋の古びた木造建築で、脇に水場も見える。

昔に戻ったような雰囲気がある。昔はハイキングとは言わずに、上行講と言った。上行菩薩の願いを実行するための登山だ。近年、この言葉を耳にしたのは、東日本大震災に際してのことで、僧侶たちが法要の行脚をする際に上行講という言葉を使っていた。

ここからもう少し先に行くと、蛇滝水行道場への入り口がある。

蛇滝旅籠(はたご)の建物は使われていないが、山の斜面に建っている蛇滝の水行道場は、今も使用されている。滝開きは4月1日だった。

(増子耕一、写真も)

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