トップ国内【宗教と政治】“逆風”にも地盤揺るがず 旧統一教会信者を公表し7選 ルポ 美馬秀夫・徳島市議

【宗教と政治】“逆風”にも地盤揺るがず 旧統一教会信者を公表し7選 ルポ 美馬秀夫・徳島市議

「勇気に感動」宗教超え支援

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)信者であることを公表し、統一地方選後半戦で徳島市議選に立候補した美馬秀夫氏(73)が7選を果たした。旧統一教会バッシングの逆風の中、地元の支持者や家庭連合の地元メンバーが結束。堂々と信念を披歴する美馬氏に感動し、宗教を超えて支援する人も現れた。美馬氏の7選は、宗教と政治、信教の自由問題に一石を投じるものとなった。(世界日報特別取材班、写真も)

当選が決まり、支援者と共に万歳三唱する、美馬秀夫氏。(左)隣は峰子夫人。

 今回の徳島市議選は定数議席30を41人が争う激戦だった。開票日の夜、市内佐古6番町の選挙事務所で、支援者と共に地元ケーブルテレビの開票速報を見詰める美馬氏の表情は厳しかった。旧統一教会問題が逆風となったばかりでなく、県議選で約1万票の得票で1議席を獲得した日本維新の会公認落下傘候補3人が送り込まれていたからだ。美馬氏の地盤である佐古地区からも1人立っており、厳しい戦いになると予想されていた。

しかし深夜11時半、3回目の開票速報で、当選確実が見え、ようやくその表情が緩んだ。最終的に1978票を獲得し、前回の2202票より200票ほど減らしたが、順位は前回の22位から20位に進んだ。維新の3候補は1人が最下位で滑り込んだ。

支援者に促された美馬氏は、事務所前で万歳を三唱。「思い切って、自分の思ったところ、皆さんの言われたことをしっかりやらねばならない。良き徳島、良き家庭、良き地域をつくっていきたい」と感謝と決意を述べた。

美馬氏は慶應義塾大学を卒業後、商社に勤めていた1974年に入信。1995年に無所属で市議初当選した。

安倍晋三元首相銃撃事件後、マスコミが政治家と旧統一教会との関係を問題にし、地元の徳島新聞も昨年9月、関係を問うアンケートを行った。美馬氏はそれに対し、「私は旧統一教会の会員」と回答。「このアンケート自体、宗教差別に繋(つな)がる魔女狩り的なもので問題だが。世間的には私が信者であることは知られているのでありのままに答えた」という。

美馬氏は家庭連合の信仰を持ちながら、自身の思想信条に基づいて、議員活動を今後も続けていくことを明言。同じく家庭連合の会員であることを公表している、いわき市議の小野潤三氏(今回選挙なし)との対談を月刊誌「Hanada」(2023年1月号)にも掲載している。

美馬氏は直近の2回の選挙は自民党公認で立候補し、自民党徳島市議団副会長を務めている。しかし、岸田文雄首相が家庭連合との「断絶」を宣言し、それを地方まで徹底する姿勢を示していることを踏まえ、今回は自民党公認を求めず、無所属で選挙戦を戦った。

そういう中、信念を曲げない美馬氏に感動し選挙運動の中核となることを買って出る支援者も現れた。美馬氏の選挙活動のために作られた「みま秀夫サポータークラブ」の中核メンバーを務めた会社経営者の山野常禎氏(76)だ。山野氏はまだ洗礼は受けていないが、あるキリスト教教団の理念を信じており、家庭連合とは教義的には同意できないものを持っている、と断りながら、「多くの政治家が旧統一教会との関係を隠したりしてきたが、美馬市議は正々堂々と自分の立場を明かし、宗教心のある政治を地方政治で主張している。これに感動した」と語る。

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