衆院和歌山1区 維新の勢いを自民は警戒 【連載】衆参補選 現場を行く(4)

雨の中、演説に傾聴する有権者ら=15日、和歌山県和歌山市

15日午前、安倍晋三元首相の銃撃テロ事件を思い起こさせる爆発物投げ込み事件が和歌山市の漁港で起きた。その1時間20分後、JR和歌山駅前で厳重な警戒態勢が敷かれる中、事件の標的となった首相の岸田文雄が意を決して選挙カーの上で演説した。

雨の中、集まった1000人を超える聴衆を前に、「この選挙を皆さんと力を合わせてやり遂げなくてはならない」と強調。「日本経済の再生、安全保障と外交、少子化対策、そして和歌山の未来をどの政党に託すのか」と述べ、元衆院議員の門博文への支援を求めた。

選対本部長を務める自民参院幹事長の世耕弘成は11日の出陣式で、「和歌山の保守は一つになった。一つの和歌山、そのことをキーワードに戦っていきたい」と訴えた。衆院くら替えを模索する世耕は昨秋の知事選の候補者擁立を巡り、元幹事長の二階俊博と対立。今回の補選では、元沖縄北方担当相で県選出の参院議員、鶴保庸介を推す二階を押し切った。二階に近い地元議員は「門候補を勝たせるには過去を水に流し一つにならないといけない」と強調した。

同選挙区で門に4連勝し、昨年秋に自民の推薦も受けて知事選に当選した岸本周平(国民民主離党)が「門を全面支援しているのは大きい」(同議員)。だが、支持層には長年争ってきた門に対するわだかまりも残っている。世論調査で、自民と岸本の支持層の一部が共に「日本維新の会」の新人・林佑美に流れていることに警戒感を示す。

 岸田の応援演説から2時間後、同じ場所で行われた林の応援演説に、大阪府知事の吉村洋文(維新共同代表)と並んで先の奈良県知事選で当選したばかりの山下真が登壇した。山下が「象とアリの戦争。やっと相手の背中が見えてきた。和歌山で1人ぐらい維新の国会議員を誕生させよう」と訴えたのに続いて、吉村は「和歌山の自民党の古い政治を終わりにしよう」と呼び掛けた。統一地方選前半戦での維新の勢いさながら、荒天にかかわらず多くの有権者が集まった。

「前例にとらわれた政治を続けるか、新しい政治に挑戦するか。今こそ和歌山が変わるチャンス。身を切る改革をやらせてください」。しがらみのなさを強調するかのように白いパーカーを身に着けた林はこう訴えた。

林は昨年8月の和歌山市議補選(欠員2)で初当選したばかり。補選では自民候補を上回る得票数でトップ当選しており、「新鮮である程度、知名度があるうちにと期待を込めて送り出している」(陣営幹部)。

警戒しているのは自民の組織力。「百戦錬磨の二階さんが本気を出して組織を固めると手に負えない」と関係者は警戒感を示す。維新にとっては、五つある補選の最重要選挙区。知名度のある吉村や維新代表の馬場伸幸らを終盤にも送り込み、“空中戦”で対抗する。

共産と政治家女子の新人は伸びを欠いている。

 (敬称略)

 (衆参補選取材班)

 =終わり

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