衆院山口2区・4区 名門2家の後継に挑む立民系 【連載】衆参補選 現場を行く(3)

演説を聞く有権者たち=14日、山口県下関市

元首相の安倍晋三がテロ事件で亡くなり、実弟の岸信夫が体調不良で衆院議員を辞任したことによる二つの補選。自民重鎮の若手後継候補に政治経験豊かな立憲民主系が挑む構図。

4区では、下関市議を3期務めた吉田真次が安倍の後継として擁立された。14日、下関市民会館の大ホールでの総決起大会では、安倍が衆院初当選したのと同じ38歳であることに「運命を感じる」とし、「志(こころざし)半ばで命を絶たれた安倍先生の魂を継いでいく」と決意を述べた。

後援会長の男性も「これは弔い選挙だ」と強調し、応援に駆け付けた前首相の菅義偉らと「圧倒的な勝利を」と呼び掛けた。吉田擁立に動いた安倍の妻昭恵は、「主人の後をしっかり働いてもらうため、圧倒的な勝利で国政の場に送り出したい」と涙をこらえながら語った。

次期衆院選は「10増10減」で県内の小選挙区が4から3に減り、4区は新3区に編入される。地盤が重なるのが外相の林芳正。今後の候補者調整を優位に進めるには大差での勝利は欠かせない。安倍派の重鎮ら自民幹部が応援に駆け付けているが、終盤まで林の姿はない。林派の地方議員らの動きは鈍いせいか、総決起大会で空席が目立った。

自民内部に隙間風が吹く中、元参院議員の有田芳生が対立候補として名乗り出た。旧統一教会を批判する急先鋒(せんぽう)として知られる。

出陣式で開口一番、「旧統一教会問題、暮らし、拉致問題が争点。山口4区から日本を変えていこう」と呼び掛けた。14日夕方には、民主党代表の泉健太が下関駅近くで応援演説したが、聴衆は30人程度。それでも、陣営は「日を増すごとに支援の輪は広がっている」と前を向く。

一方、世襲の是非が焦点となっている2区では前防衛相の岸信夫の後継として息子、信千世が立候補した。

米軍基地のある岩国市での出陣式で「この誇り高き日本を次の世代により良い形で託していく」と第一声を上げた。応援演説した自民安倍派会長代理の塩谷立(しおのやりゅう)は、岸信介、安倍など歴代総理の名前を挙げ、「系統のこんな立派な系図はない」と持ち上げた。ただ、家系自慢はかえって世襲批判を招く結果になっている。岸は出馬表明後の2月、家系図をホームページに掲載したが、SNSで批判を浴び、削除。政治家としての実績がないために裏目に出たわけだ。

「世襲は利益集団に結び付き、偏った政治が行われる」。民主党政権で法相を務めた無所属の平岡秀夫が復活を期している。原発新増設や「大軍拡」への反対で一致する共産が候補を取り下げ、一騎打ちの態勢を整えた。2区では岸信夫に敗れるまで4度、自民候補を破っている。ただ、電力関係の組合員が多い連合山口が支持母体の立民は推薦すらしておらず、共産色が出過ぎることを懸念する声も出ている。(敬称略)

 (衆参補選取材班)

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