大阪府知事・市長 維新王国揺るがず 【連載】統一地方選2023 現場を行く(1)

4年に1度行われる統一地方選挙の前半戦が9日、投開票される。九つの道府県知事選と6政令市長選、さらに、道府県議会選と政令市議選が行われる。知事選を中心に、争点となる選挙の現場を取材した。(統一地方選取材班)

地域政党「大阪維新の会」創設メンバーの一人、松井一郎大阪市長の政界引退に伴い、同党幹事長で元府議の横山英幸が後任を託された。告示日の19日、大阪の賑(にぎ)わいを象徴する中央区のなんば駅前で横山はシンボルカラーの黄緑色のウインドブレーカーを着た現知事の吉村洋文と松井と並んで第一声を上げた。横山は、府と市の二重行政の問題を指摘し、「豊かな行政サービスを将来も安定的に運営するため、今後も財政改革を行う」と訴え、私立まで含む高校無償化や大阪市の学校給食無償化などの実績を挙げながら、無駄を排除する「身を切る改革」を継続していく決意を述べた。

演説を聞く有権者ら 3月26日、大阪市内

維新幹部として大阪都構想の実務を担ってきた横山に対し、元市議の北野妙子は都構想反対の旗振り役だった。府市ダブル選挙に合わせ非維新勢力の結集に向け2月に設立された政治団体「アップデートおおさか」が擁立した。

北野は出馬に当たり、自民党を離党。自民、立憲民主両党の地方議員らが自主支援し、政党色を排除した選挙戦を展開している。北区の梅田駅前で行った出陣式で北野は、改革路線を突き進む現市政・府政を「弱者切り捨て」と批判。「誰もが暮らしやすい大阪にはなっていない」と述べた。

カジノを含む統合型リゾート(IR)を巡っても両者に明確な対立軸がある。維新は政府・自民党と共にIR誘致を推進。事業者選定や府市両議会の承認も終え、国の認定を待つ段階にある。横山は、「IRを含む観光戦略で今後、大きな経済効果を期待できる」と述べ、収益分は次世代への投資に使いたいとしたのに対し、北野は、「IRの儲(もう)けの8割がカジノ。カジノで稼いだお金を教育や福祉に使うことを私たちは望んでいない」と訴えた。

知事選も市議選と同日に行われるが、争点は重なる。

「横山さんと一緒に、万博、IRなどの成長戦略を進めて、大阪をより成長できる街にする」。府市のダブル勝利を目指す維新の吉村に対し、「アップデートおおさか」はテレビコメンテーターとして知名度の高い谷口真由美を擁立するが、苦戦を強いられている。

アイドル並みの人気を誇る吉村について「ロックスター吉村に対して、私はチャレンジするインディーズのおばちゃん」と対抗意識を燃やす。お決まりのヒョウ柄の衣装を身にまとって演説する谷口は、歯に衣(きぬ)着せぬトークで聴衆を引き付けている。街頭演説では「女性が生きやすくなる社会を築きたい」と主張した。

リベラル論客として知られる学者・谷口に対しては、自民府連の一部は厳しい目を向ける。ある国会議員経験者は、「自民に批判的な人物を推すわけにはいかない」と静観を決め込む。

過去2回の知事選で自民推薦候補を自主支援した共産は、元参院議員の辰巳孝太郎を擁立した。ダブル選と同日投票の府議選(定数79)を睨(にら)んでの出馬だ。府議選では維新主導の定数9削減の影響で現有2議席の維持も苦しい状況に陥っている。(敬称略)

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