福岡県北九州市在住の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者が20日、同市議会が昨年12月15日に可決した「反社会的な旧統一教会に関与しないことを確認する決議」は同教会の教えを信仰する信教の自由と同市議会に対する請願の権利を侵害し、信教を理由とする差別的扱いを受けたとして、決議の取り消しと慰謝料など350万円の支払いを求める訴訟を福岡地裁に起こした。
訴えを起こした男性信者の鈴木一さん(仮名、70歳代)は同日午後、福岡市内で記者会見し、決議の背景に「一部メディアの報道が一方的である」と同教会への批判報道があるとの考えを示した。また、「事実を確認することなく決議されたことは非常に残念でならない」と述べるとともに、「『反社会的』というのは私たちに対して極めて侮辱的で偏見に満ちた決議だ」と強調した。
代理弁護人の徳永信一弁護士(大阪弁護士会)は、「特定の宗教団体と公共団体が関係を持たないという決議をすることは、現在の憲法体制としてどうなるか」と問題視し、信教の自由、請願権という参政権に触れるなど「憲法違反があると言わざるを得ない」と主張した。
同様の決議をした地方議会について地方自治体を相手取った訴訟は他に富山市など四つある。一方、同様の決議案を否決した地方議会もある。可決した議会について同弁護士は、「憲法上で保障されている請願権に対する不見識とマスコミのミスリードの両方があった」との認識を示した。