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代々の奥方らが愛でたもの 「前田家伝来雛人形雛道具特別展」/金沢

250年余りの歴史を伝える雛人形 金沢市の成巽閣

加賀前田家の奥方御殿として知られる金沢市の成巽閣(せいそんかく)(国重文)で、「前田家伝来雛人形雛道具特別展」が開かれ、代々の奥方らが愛(め)でた雛(ひな)人形と雛道具が展示されている。


 大名家の雛人形は、愛玩した奥方や側室が亡くなると、菩提(ぼだい)寺に預けられて供養したり、長年仕えた侍女への形見分けとなり、散逸することがほとんどだった。ところが、成巽閣に保存されている雛人形には、由緒書によってその来歴が分かるものが数点ある。

その一つ「次郎左衛門雛(じろうざえもんびな)一対預玄院(よげんいん)所縁」は、所蔵の雛人形の中でも最も大きく、かつ250年ほど前の宝暦の頃から伝わる。男雛(おびな)は傷みが激しく、束帯用の黒の袍(ほう)をまとっているが、染色の媒染剤(ばいせんざい)に鉄が用いられており、歳月とともに酸化が進み、生地がボロボロになっている。それに比べて、女雛(めびな)は紅花で染色され、色はあせていても生地の傷みは男雛ほどではない。

預玄院は5代藩主・前田綱紀の側室で、6代吉徳(よしのり)の生母となった。由緒書には93歳の時、10代重教(しげみち)の元に輿(こし)入れした正室壽光院(じゅこういん)に贈ったとある。さらに重教の側室を経て、12代齊広(なりなが)の正室眞龍院(しんりゅういん)に伝えられたとあり、預玄院は98歳まで生きた。同館の吉竹泰雄さんは「雛人形にはお家の繁栄を守りたいとの特別の思いが込められ、大切に受け継がれてきました」と説明している。

4月17日まで。開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)、毎週水曜日休館。入館料=一般・大学生1000円、高中生400円、小学生300円。問い合わせ=(電)076(221)0580。

(日下一彦、写真も)

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