月刊誌「文藝春秋」1月号 DIA文書の「警告」を隠蔽 旧統一教会の対北資金で臆測報道

「4500億円」根拠示さず

「北朝鮮と統一教会の関係」について書かれた米国防総省1994年9月9日付報告書

300万ドルの土地売却教団側は否定

月刊誌『文藝春秋』1月号が報じたDIA報告書2通は「生の情報」の報告なので、既に公開された事実も書かれているが、風評や虚偽情報が交っている可能性は否定できない。

特に家庭連合(旧統一教会)と北朝鮮の関係が確立したのは「(教団側が)1991年に4500億円、1993年に300万㌦の寄付を行った後」であるとの記述は事実であれば重大な問題だ。

まず、300万㌦について報告書は①1993年、統一教会はペンシルバニア州にある不動産の一部を売却した②その売却利益の約300万㌦は中国の銀行を通じて韓国企業『サムスン・グループ』の香港支社に送金された③その資金は後に金正日に誕生日プレゼントとして贈られた―とかなり具体的に記述している。少なくとも土地売買と送金については記録を辿れば事実関係は明らかになるが、記事は何も示していない。

家庭連合関係者によると、米統一教会は最近、日本の家庭連合宛ての公文で、「1993年またはその前後にペンシルバニア州の不動産を300万㌦で売却したことはなく、更に今までに中国の銀行を通じてサムスン・グループに資金を送金したことはない」と明確に否定したという。文藝春秋側が土地売買や送金の事実を示せば、この真偽論争は簡単に決着がつく。

91年の4500億円に関しては、9月9日付報告書は根拠は示していないが、「(1991年11月30日から12月7日までの金日成との)会談中に文鮮明は北朝鮮に4500億円を寄付したとみられている。(IT IS BELIEVED THAT~)」と時期を特定した記述となっている。

家庭連合側は、あたかも日本の献金が使われたかのように書かれていることに対し、「1991年当時、日本政府は海外送金について許可制をとっており、当時の日本教会による海外送金記録をみれば、91年頃に4500億円が送金されたというのは、全くの作りごとであるのは明らかだ」(前記関係者)と全面否定する。

同記事は、何も確実な根拠を示しておらず、「DIAの分析の正しさを裏付ける重要な証言と資料」(DIAは警告で何の分析もしていないことを明らかにしている)として示されたのは、ほとんどが送金ルートに関すること。しかも全てが1999年に平和自動車が韓国ソウルに設立され、韓国政府の公認の下でプロジェクトが進められて以降のことなので、まったく4500億円寄贈説の根拠になっていない。

4500億円というのは当時の北朝鮮の政府予算の15年分に相当する膨大な金額だ。韓国銀行によると、1990年の北朝鮮の政府予算は約350億ウォン(北朝鮮ウォン、約280億円)、93年は約400億ウォン(同320億円)にすぎない。そんな国がもし91年に4500億円を手にしていたら核・ミサイル開発はもっと早く進んだはずだし、1994年以降の「苦難の行軍」は起こらなかっただろう。

また、91年の文鮮明・金日成合意の目玉となった金剛山観光開発は98年6月、韓国の現代グループの鄭周永会長が訪朝して50年間の事業権を取得し、その見返りに9億4200万㌦(約1300億円)を払っている。もし、その7年も前に約3・5倍の資金が北朝鮮に寄贈されていれば、統一グループが金剛山観光事業を行っていたはずだ。

このような周辺事情を考慮しても、91年4500億円寄贈説は全く根拠のない風説としかいいようがない。DIA自体がこの情報報告書を「最終的に評価されたインテリジェンスではない」と評価し、米国政府がこの件について旧統一教会を一切捜査していないことが、何よりもの裏付けとなる。

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