京王・小田急多摩センター駅の近く、南東側に遺跡庭園「縄文の村」がある。散策していくとあちこちに縄文時代の竪穴住居が復元されており、大昔の時代に舞い戻ったような気分になる。
住居が3棟と湧水跡、調査当時の様子を再現した模型などがある。縄文時代前期の竪穴住居(6500年前)と竪穴住居の模型は、発掘調査当時の位置。ここがもとからの「縄文の村」だったのだ。
興味深いのは森を構成する樹木や野草だ。5000年前に村の周囲に生えていた植物50種以上を植えて、様相を再現している。シラカシを中心とした常緑広葉樹のほか、クヌギ、コナラ、トチノキ、クリ、クルミなどの温帯落葉広葉樹、カヤなどの針葉樹もあったようだ。
敷石住居は4500年前のもので、八王子市堀之内のNo.796遺跡で発見された住居を移築したもの。床に大きく平たい石が敷かれていたことから敷石住居と名付けられた。室内面積8平方㍍と少し小さめだが、多摩地区の住居の特徴をよく示しているという。
発掘当時の位置に復元された前期の竪穴住居(写真)は、床の形が長辺7㍍、短辺4・5㍍の長方形で、床面積20平方㍍と大きい。
「縄文の村」は多摩ニュータウンNo.57遺跡を保存する目的で1987年に整備された。旧石器時代から中世にいたる複合遺跡だが、南側半分の調査を終了した状態のまま盛り土をして、「縄文の村」の地中に保存したという。
隣接するのが東京都埋蔵文化センター。多摩ニュータウン遺跡から発掘された縄文土器などが数多く展示されている。
(増子耕一、写真も)