世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は21日 政府が検討する同宗教法人の解散命令請求2万3486通の「嘆願書」を文化庁に郵送した。「嘆願書」は全国の信者から郵送やFAXなどで教団本部に届けられたもの。嘆願書を書いた一人で、教団の二世信者の小嶌希晶さん(27)が23日、取材に応じ、「私の両親は国際結婚で、教会がなければ私は生まれていなかった。だから『教会がなくなったらいい』と言われるのは、自分自身の存在価値を否定されている気がする」と訴えた。
小嶌さんは成長する中で、親や教会に対して疑問を感じた時期もあり、メディアで被害を訴える宗教二世たちの声についても「共感するところは大きい」と語る。その一方で、「(社会から)遮断され、恐ろしい組織に育てられたロボットのようなイメージを、宗教二世には持たれている。盲目的にではなく、いろんな考えに触れ、葛藤を経た上で、選択してこの教会にいる二世がいることを知ってほしい」と強調した。
嘆願書には、信者の信仰上の体験談や教団への批判が高まる中での不安な思いなども吐露されているという。別の二世の女性信者は嘆願書で、「教会は私たちの大切な生活の一部であり、家族の支えであり、温かい居場所」、「(教会や信者は)存在すら許されないのでしょうか」と訴えた。
教団広報によると、9月ごろから全国の信者間で、岸田文雄首相に対して嘆願書を送ろうという動きが広がり、教団本部に送られてくる数は「質問権」が行使された11月22日以降、急増したという。
当初、嘆願書提出について首相官邸に問い合わせたところ、監督官庁の文化庁に提出するよう指示があったが、文化庁からはメディア報道による騒動を避けたいという理由から、郵送で送ることを求められた。広報担当者は嘆願書について、「現役信者の声にも耳を傾けて、公正に取り扱ってほしい」と話した。