
世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良)の定期講演会が10日、動画サイト「ユーチューブ」の配信を通じて行われ、「空の神兵」顕彰会会長の奥本康大氏を講師に招き、「パレンバンの史実と出光佐三の軌跡~国家の命運を決するエネルギー問題」と題して講演した。
大東亜戦争(太平洋戦争)時、インドネシア・スマトラ島南部のパレンバンで行われた日本軍落下傘部隊の奇襲作戦を「日本の石油が枯渇しそうな時、オランダ軍が占領していた石油基地を制圧し、以降も日本が戦争を続けることができた大戦果だった」と強調。しかも、編成間もない部隊による圧倒的兵力差を覆した奇跡的勝利であり、「日本が植民地にならなかった大転換の戦闘だった」と訴えた。
また、元出光興産のOBでもある奥本氏は、創業者の出光佐三を「本当の日本人というような考え方の人物。世界全体を平和の家のようにする『八紘為宇』、7度生まれても国に忠誠を尽くす『七生報国』という世界観を持ち、事業経営の基軸としていた」と説明。さらに戦後、海外の石油資本と闘い、高度経済成長に貢献した取り組みも紹介。出光が石油を産油国から直接取引できるようになったことで、「石油製品の価格がそれまでの3~4割ダウンし、それによって日本の戦後復興が進んだと言われている。また、佐三がタンカーの大型化を進めたことで、欧州と石油コストに差ができ、日本は欧州と製品競争できるようになった」と話した。
現在のエネルギー問題に関しては「国策上、分散化する必要がある。原発を再評価して稼働率を高めなければいけない。エネルギーをほかの国に頼るのは有事の際、孤立してしまう」と懸念を示した。
講演に先立ち、近藤会長は「今の日本には強いリーダーが必要だ。平和は力の均衡であり、抑止力がもたらすもの。戦わない国は滅びる運命にある」とコメントを寄せた。