新疆ウイグル自治区出身で日本ウイグル協会理事のサウト・モハメド氏が10日、故郷の歴史や中国共産党支配による問題を指摘した著書の出版記念講演会を都内で開いた。
サウト氏は、2016年に来日。以前は中国の国営鉄道会社に勤務し共産党員でもあったが、09年に自治区の区都ウルムチでウイグル人デモ隊と警察隊が衝突したウルムチ事件を目撃し、当局によるウイグル人弾圧にショックを受け出国を決意したという。
異例の三期目に突入した習近平政権についてサウト氏は「独裁化は毛沢東時代に匹敵するほど進んでいる」とし、同化政策が進む各自治区や特別行政区である香港では「民族区域自治は名ばかり。中国政府には民族問題を解決する方法がない。民族問題は今後ますます激しくなるだろう」と述べた。
著書では、非暴力で独裁政権を倒すことができると訴えたが、ウルムチで先月起こった火災以降、中国で反政府デモなどが勃発していることは「予想していなかった」と明かし、「中国は史上最強の監視社会であり、デモが起こることは考えにくかった。習近平政権になってから抑圧も強くなっているが、反政府運動も強まり、予想外のことが起きている。中国では明日何が起きてもおかしくない」と強調した。
ウイグル人の今後については「非暴力活動を地道にして、組織を成長させるべきだ」と主張。「明日か10年後か分からないが、中国の体制が変わる時に(独立して民主主義の国をつくる)準備ができていないといけない」とし、その点で「ウイグル人はまだ準備ができてない」と指摘した。