Home国内【連載】日本共産党100年 第2部 警戒解けぬ「革命集団」(1) 暴力破壊闘争

【連載】日本共産党100年 第2部 警戒解けぬ「革命集団」(1) 暴力破壊闘争

謝罪なく「分派」に責任転嫁

旧ソ連のスターリン首相が指導した世界的な共産主義革命運動の“総司令部”コミンテルン(国際共産党)の日本支部として発足して100年が経(た)った日本共産党。この間、殺人、強盗、放火、詐欺、監禁など手段を選ばない違法行為を重ねた時期が戦前、戦後を通じてあった。特に1950年代前半、外国勢力の支援を受けながら数年に及んで展開した全国規模のテロ殺人闘争では、拳銃や火炎瓶などを自ら製造し使用したが、遺族をはじめとした被害者や国民への謝罪は今もない。(日本共産党100年取材班)
日本共産党の武装闘争を指揮した徳田球一の墓(東京都府中市の多磨霊園)

東京都府中市にある多磨霊園。樹木が林立し都会のオアシスとも言われる広大な霊園の入り口から10分ほど右手に進むと、党創立の“功労者”であり、戦後の党初代書記長だった徳田球一の墓がある。広さは10平米ほどで、墓石に周恩来が書いたとされる横書きの「徳田球一」の4文字があった。

青山霊園の革命戦士合同碑、八柱霊園(千葉県松戸市)の徳田家墓所にも分骨されているというが、この墓の手入れは行き届いていない印象だった。

徳田球一

徳田の出身地、沖縄県名護市には1998年に建立された徳田記念碑がある。徳田の肖像と「為人民無期待献身(人民のために期待することなく献身する)」という言葉が彫刻されている。名前の球一は「琉球一の人物」になるように願って付けられたものだ。記念碑の公費での建立については沖縄の自民、公明、社会(当時)党など保守、革新を超えて賛成したが、共産党だけは賛成も反対もせず保留にした。

かつての共産党最高指導者がなぜ、党から高い評価を与えられず、むしろ厄介者扱いにされ、党史においては分派として批判の対象となっているのか――。

ここに「50年問題」というコミンフォルム(共産党・労働者党情報局)による党への指令を巡って徳田(所感派)らと宮本顕治(国際派)らが争い党を二分した問題がある。

党創立以来初めて公然とした活動を開始した戦後の党は、「平和革命方式」を打ち出し、49年1月の総選挙で約298万票、35議席に躍進、十数万の党員と30万の機関紙「赤旗」読者を獲得するまでになった。労働者層には全国的に革命ムードがみなぎり、「9月革命説」まで喧伝(けんでん)されるようになった。

宮本顕治

ところが、50年1月、コミンフォルムの機関紙が突然、平和革命路線を批判し反米の武装闘争に立ち上がるよう指令を出したことで党内は混乱し分裂していったのである。

その際、コミンフォルムの最高指導者であったスターリンは、軍事指令を真っ先に積極的に支持した宮本よりも党内地位の高かった徳田、野坂参三らの指導力に期待して所感派を主流派とし、宮本ら国際派を分派と裁定した。党内抗争に敗れ九州に左遷された宮本は徳田の配下となった。

一方の徳田や野坂らは、連合国軍総司令部(GHQ)による共産党の非合法化、すべての共産党員の職場追放という50年のレッドパージ(赤狩り)指令によって中華人民共和国に亡命して「北京機関」を設置、「自由日本放送」という地下放送を通じて党に指示を与えるようになったのである。

その後、党は53年のスターリンや徳田の死を転機として急速に平和路線へと切り替わり、軍事組織を解体。55年に第6回全国協議会(6全協)を開催して「自主独立路線」へと舵(かじ)を切り宮本独裁時代へと突入していく。

その過程で党史の見直しが行われ、徳田・分派、宮本・主流派と評価を逆転させた宮本党史が偽造されていくのである。党史「日本共産党の八十年」では「北京機関」について「スターリンの筋書きにそってソ連、中国でつくりあげた武装闘争方針を日本に持ち込むための、干渉と分派活動の道具となりました」と述べている。

どちらが分派であるとしても、共産党が全党を挙げて暴力闘争を行い日本の社会を震撼(しんかん)させて国民に多大な迷惑を掛けた事実に変わりがない。

いまだに「徳田ら分派による極左冒険主義」と決め付けて責任逃れをし歴史的な反省をしようともしない反社会的かつ閉鎖的な「革命集団」、それが日本共産党なのである。(敬称略)

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