
東京都八王子市に高尾山がある。京王高尾線を高尾山口で下りて、案内に沿って南下し、門前町に入らず、抜けたところに高尾599ミュージアム(写真)がある。599のモニュメントがあるだけの広々とした庭園がいい。
599(㍍)は高尾山の標高で、広いワンスペースの展示室にこの山で観察される植物、昆虫、鳥類、動物が展示され、見せることそのものが目的、と感じられる。
植物類と昆虫類は実に美しく、命の輝きそのものをとどめている。その理由はアクリル樹脂に封入しているからだ。16台の展示台から成る。
エビネ、シャガ、シュンラン、ヒトリシズカなど、実物を見ているのと変わりがない。昆虫も同様。カブトムシ、クワガタ、トンボ、ガ、チョウ。じっと見つめて細部まで観察できる。ヤママユガを長いこと見ていたら親しみが感じられてきた。ブータンや沖縄ではその繭からシルクを作っているからだ。
アクリル樹脂に封入というのは、現代的な展示方法なのだろう。それができないイノシシやクマやタヌキは剥製。鳥類は剥製もあり、人の手で造形されたものもある。クリーンな空間だ。
庭園に面したエリアはカフェ。大きなガラス越しに庭園がよく見え、来館者たちはコーヒーで憩いのひとときを過ごしている。ミュージアムショップもあるが、ここで「TAKAO599MAP」という地図を見つけた。ミュージアムと同じ美意識で制作された独自の地図。昔の甲州街道、国道516号もすっぽり入っていて、穴場を探すことができる。
(増子耕一、写真も)