「世界日報の1面に地方議会で『共産主導の意見書、相次ぎ否決』という見出しの記事が出ている。われわれは岸田首相に何度も自民党の地方議員についても『調査すべきだ』と求めてきたのに応じてこなかった」
これは去る4日の衆院厚生労働委員会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題に関して日本共産党の宮本徹議員が岸田首相を追及した際の発言の要旨だ。引用された本紙記事は10月31日付で「自民本部の指針 地方と乖離」といった内容のもの。共産党が主導し全国の地方議会に提出された意見書などが「(教団および関連団体との)関係断絶は非現実的」「反社会前提は全体主義に道を開く危険性がある」などの理由で次々と否決された。
宮本氏は、首相が「教団および関連団体と関係を断つ」と表明したことで全国の地方議会にもメスを入れて関係断絶を徹底させる意見書などの採択を図ったが、狙いに反して相次ぎ否決されたことの不満から、首相に“努力が足りない”と叱責しているのだ。
これに対して首相は「党としてガバナンスコードの改定をし、そうした方針を徹底するとともに党所属の国会議員がこれを遵守(じゅんしゅ)することを担保するための照会に対応する体制など制度を整備する、こうしたことを明らかにした」と返答した。しかし、このガバナンスコードは教団を名指ししておらず、関係断絶そのものが「信教の自由」に抵触する違憲の内容であるとして、地方の多くの自民党議員は賛同していない。それ故、共産党主導の政界との癒着解明や関係断絶を求める意見書などが否決されたのだ。
しかもガバナンスコードとは、あくまでも党としての行動指針であり、各都道府県連の裁量が大きい。共産党のように上意下達の民主集中制により、指示が直ちに徹底される革命政党の組織原則とは大違いなのである。