Home国内【宗教と政治】共産主導の徹底調査意見書 相次ぎ否決

【宗教と政治】共産主導の徹底調査意見書 相次ぎ否決

「関係断絶は非現実的」「反社会前提は全体主義」

自民本部の指針 地方と乖離
地方議会/旧統一教会問題

共産党市議の紹介で提出された請願に反対討論する細谷典男市議=9月16日、茨城県取手市議会(YouTube「取手市議会公式チャンネル」より)

全国の多くの地方議会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と地方議員らとの関係断絶やさらなる調査・追及を国などに求める意見書が日本共産党の主導により提出されたが、自民党議員らの反対多数で相次いで否決されている。一方、自民党本部は同教団や関連団体との関係を「厳に慎む」よう地方組織にも周知し順守を徹底する方針だが、地方の事情との乖離(かいり)もある。(「宗教と政治」取材班)

高知県議会では10月14日、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を断ち切り、被害防止および救済を求める意見書」が賛成少数で否決された。共産党県議が提案した理由は「岸田総理は旧統一教会との関係を断つと約束した。地方議員にも徹底するとも述べている。県議会として毅然とした態度を示さなければいけない」というもの。これに対して、自民党の上治堂司県議は「県には県民に等しくサービスを提供する責務がある。行政トップの政府、立法トップの国会が関係を断ち切ることは現実的ではない」と反対意見を述べた。

また、京都府議会は5日、「旧統一協会・勝共連合と政治家との癒着究明・被害者救済を求める意見書」を否決。千葉県議会は「旧統一教会と政治との関係について、徹底的な調査と事実関係の解明を求める意見書」を、茨城県議会も「旧統一教会問題の徹底究明と被害者救済を求める意見書」をそれぞれ否決したが、すべてのケースで自民党議員が反対姿勢を明確にしたからだ。

市レベルでも同様の結果が相次いだ。東京・日野市では「日野市・日野市議会として、旧統一教会とのいかなる関係性をも拒絶する動議」が共産党市議から出されたが、自民、公明などの反対多数で否決された。

茨城県取手市議会では「旧統一教(協)会汚染調査に関わる請願」が共産党市議から出されたのに反対する討論を行った細谷典男市議(無会派クラブ)は、「何ら法を犯すこともなく納税など市民の義務を果たしていながら基本的人権が侵されている。つまり憲法違反を白昼堂々と行うことを是認する言葉が反社会だ」とした上で「(この請願は教団が)反社会という前提で組み立てられており、その事実を実証できていない。これは全体主義に道を開く危険性があり、今の重圧に押しつぶされそうな信徒らの声も聞かなければならない」などと反論、圧倒的反対多数(反対18、賛成4)で不採択となっている。

このほか、「旧統一協会等による被害の防止・救済及び新たな法整備を求める意見書」(八王子市)、「旧統一教会問題の全容解明と被害者救済強化を求める意見書」(町田市)なども自民、公明議員が連携して否決。その他の市議会でも同様の内容の意見書を否決している。他方、富山市議会のように、自民会派が提出した「市議会が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)および関係団体と一切の関係を断つ決議」を全会一致で可決した例もある。

自民党の茂木敏充幹事長は26日、党所属国会議員に対して「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係遮断について」と題する指示文書を配布した。しかし、同教団への対応をめぐって、来年4月に統一地方選を控える地方の所属議員らの間でも濃淡があり、党本部とも温度差があるようで、党運営の指針「ガバナンスコード」に新たに盛り込んだ「組織・団体との責任ある関係」を地方に徹底することは容易でなさそうだ。

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