
「信教の自由と矛盾」日本政府非難
国連経済社会理事会で特殊諮問資格を持つ欧州の非政府組織「良心の自由のための団体と個人の連携(CAP―LC)」は、日本で安倍晋三元首相銃撃事件を機に起きている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)信者への人権侵害について、国連自由権規約人権委員会に追加報告書を提出した。同団体は先月、旧統一教会に対する差別や迫害は日本が批准する「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」のさまざまな条項に違反すると非難する報告書を提出したが、追加報告書はさらに、日本政府の対応を「全体主義を彷彿(ほうふつ)させる」と厳しく批判し、同委員会に緊急に対処することを求めた。(世界日報特別取材班)
CAP―LCはパリを拠点に信教・良心の自由擁護、特に少数派宗教が直面する差別解消に長年取り組んできた国際NGO。CAP―LCが国連自由権規約人権委員会に提出した最初の報告書は、ローマ教皇庁立外国宣教会の公式通信社「アジアニュース」が報じるなど、海外の宗教界からも注目を集めている。
JAPAN Unification Church before the UN claiming persecution over Abe’s killing (asianews.it)
追加報告書は、河野太郎消費者担当相が設置した「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」について、「特定の宗教を標的にした政府委員会の存在そのものが、宗教や信条の自由に関する自由権規約第18条や差別禁止に関する同26条と矛盾する」と明記し、「検討会の目的や委員の構成を考えると、統一教会を標的にし、差別的な体制をつくろうとしていることは疑いがない」と非難した。
特に、検討会に全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の紀藤正樹弁護士が加わっていることを問題視し、「紀藤氏は過去に、統一教会の成人信者を強制的に棄教させる目的で、拉致・監禁という違法行為に従事したディプログラマーの代理人を務めた弁護士の一人だ」と指摘。「検討会には過激な統一教会反対派が含まれる一方で、宗教学者が一人もいないという事実が、この検討会の悪意を際立たせている」と断じた。
追加報告書はまた、「文部科学省が消費者庁に明らかにしたように、統一教会は団体としても、全国レベルの指導者たちも、何らかの罪で有罪になったことはない。一部のいわゆる専門家が『いかがわしい』と見なしているという理由だけで教会を解散させる方法を探し出そうとすることは、自由権規約第18条に基づく日本の信教の自由義務と矛盾する」と主張。「これはむしろ、犯罪の疑いがあるというだけで個人を逮捕したり、団体を禁止したりする全体主義体制のやり方を彷彿させる」と厳しい表現で批判した。